「懲戒解雇されたら失業保険はもらえないのでは?」
そんな不安を抱えている方は少なくありません。
結論から言うと、懲戒解雇されても失業保険は受給できます。
ただし、「重責解雇」に該当するかどうかで、給付制限期間や受給日数が大きく変わってきます。
この記事では、元ハローワーク職員の視点から、懲戒解雇後の失業保険について徹底解説していきます。
受給の条件、もらえる金額、具体的な手続きの流れまで、初めての方でもわかりやすくお伝えします。
最後まで読んでいただければ、今後の生活設計に必要な情報がすべて手に入るはずです。
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懲戒解雇された場合の失業保険|受給できるかの判断ポイント
懲戒解雇という言葉を聞くと、どうしてもマイナスのイメージが先行してしまいます。
「もう失業保険はもらえない」と諦めてしまう人もいるかもしれません。
しかし、懲戒解雇と失業保険の関係は、多くの方が思っているよりも複雑です。
実は懲戒解雇されたからといって、必ずしも失業保険が受け取れなくなるわけではありません。
重要なのは、あなたの懲戒解雇が雇用保険法上の「重責解雇」に該当するかどうかという点です。
この判断によって、給付制限の有無や受給できる日数が大きく変わってきます。
ここでは、受給できるかどうかを判断するための重要なポイントを整理していきましょう。
懲戒解雇でも失業保険は受け取れる
まず最初に押さえておきたいのは、懲戒解雇=失業保険がもらえないというのは誤解だということです。
失業保険(正式には雇用保険の基本手当)は、雇用保険に加入していた期間などの条件を満たしていれば、退職理由に関係なく受給資格が発生します。
懲戒解雇された場合でも、この基本的なルールは変わりません。
ハローワークインターネットサービスでも、解雇された場合の受給資格について以下のように説明されています。
「基本手当は、雇用保険の被保険者が離職して、次の1及び2のいずれにもあてはまる場合に支給されます。1. ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。2. 離職の日以前2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること。」
つまり、懲戒解雇であっても上記の条件を満たせば受給可能なのです。
ただし、懲戒解雇の内容によっては、受給開始までの期間や給付日数に影響が出る可能性があります。
その判断の分かれ目となるのが「重責解雇」に該当するかどうかです。
懲戒解雇と失業保険の関係を表にまとめると以下のようになります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受給の可否 | 懲戒解雇でも受給可能(条件を満たせば) |
| 判断のポイント | 「重責解雇」に該当するかどうか |
| 判断する機関 | ハローワーク(会社の記載がそのまま採用されるとは限らない) |
「重責解雇」とは何か?通常の懲戒解雇との違い
「重責解雇」という言葉に馴染みのない方も多いのではないでしょうか。
重責解雇とは、雇用保険法上の概念で、労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇を指します。
一方、懲戒解雇は会社の就業規則に基づく処分の名称です。
この2つは似ているようで、実は全く別の概念なのです。
懲戒解雇されたからといって、自動的に重責解雇として扱われるわけではありません。
最終的に重責解雇に該当するかどうかを判断するのは、会社ではなくハローワークです。
会社が離職票に「重責解雇」と記載していても、ハローワークの調査によって覆ることもあります。
懲戒解雇と重責解雇の主な違いは以下の通りです。
- 懲戒解雇:会社の就業規則に基づく処分名称で、会社が決定するもの
- 重責解雇:雇用保険法上の区分で、ハローワークが判定するもの
- 両者は必ずしも一致しないため、懲戒解雇でも重責解雇に該当しないケースがある
この違いを理解しておくことが、失業保険を正しく受給するための第一歩となります。
重責解雇の該当・非該当で変わる3つのこと
重責解雇に該当するかどうかで、失業保険の受給条件は大きく変わってきます。
具体的には、給付制限期間、所定給付日数、被保険者期間の要件という3つの点で違いが生じます。
重責解雇に該当すると判断された場合は、自己都合退職と同等の扱いになります。
そのため、7日間の待機期間に加えて3ヶ月の給付制限期間が設けられることになります。
一方、重責解雇に該当しない場合は、会社都合退職(特定受給資格者)と同じ扱いになる可能性があります。
この場合、給付制限なしで受給を開始でき、給付日数も手厚くなります。
重責解雇の該当・非該当による違いを表にまとめました。
| 比較項目 | 重責解雇に該当 | 重責解雇に非該当 |
|---|---|---|
| 給付制限期間 | 3ヶ月あり | なし |
| 所定給付日数 | 90日〜150日 | 90日〜330日 |
| 被保険者期間要件 | 2年間で12ヶ月以上 | 1年間で6ヶ月以上 |
| 扱い | 自己都合退職と同等 | 特定受給資格者(会社都合) |
このように、重責解雇に該当するかどうかで受給条件に大きな差が出ます。
自分がどちらに該当するのか、事前にしっかり確認しておくことが大切です。
重責解雇に該当するケース・該当しないケース
自分の懲戒解雇が重責解雇に該当するのかどうか、気になる方は多いでしょう。
重責解雇に該当するかどうかは、解雇の原因となった行為の悪質性によって判断されます。
ここでは、重責解雇と判断される具体的なケースと、該当しない可能性があるケースをそれぞれ紹介します。
あくまでも目安ですが、自分の状況を判断する際の参考にしてください。
なお、最終的な判断はハローワークが行いますので、不明な点は直接相談することをおすすめします。
重責解雇と判断される7つの具体例
厚生労働省の基準によると、以下のような行為による懲戒解雇は重責解雇に該当する可能性が高いとされています。
これらは労働者側に明らかな非があり、社会通念上も重大な問題とみなされるケースです。
会社側が解雇予告除外認定を受けられるような、悪質性の高い行為が対象となります。
重責解雇に該当しやすい7つのケースは以下の通りです。
- 横領・窃盗など刑法に触れる行為で処罰を受けた場合
- 故意または重大な過失で会社の設備・備品を破壊した場合
- 会社の信用を著しく失墜させる行為をした場合
- 就業規則の重大な違反(長期無断欠勤・度重なる遅刻等)があった場合
- 会社の機密情報を外部に漏洩した場合
- 会社名を利用して不正に利益を得た場合
- 経歴を詐称して採用されていた場合
たとえば、会社のお金を横領した場合は、刑法上の犯罪行為に該当するため、ほぼ確実に重責解雇となります。
また、2週間以上の無断欠勤が続いた場合も、就業規則の重大な違反として重責解雇に該当する可能性が高くなります。
これらに該当する場合でも、状況によっては判断が分かれることがあります。
最終的な判断はハローワークが行いますので、納得できない場合は異議申立を検討しましょう。
重責解雇に該当しない可能性があるケース
一方で、懲戒解雇されても重責解雇に該当しないケースもあります。
会社側が懲戒解雇と判断しても、ハローワークが重責解雇とは認めない場合があるのです。
以下のようなケースでは、特定受給資格者(会社都合退職)として扱われる可能性があります。
- 軽微な就業規則違反による懲戒解雇で、悪質性が低いと判断される場合
- 能力不足や成績不振を理由とした解雇の場合
- 会社側の処分が社会通念上過剰と判断される場合
- パワハラ等が原因で出勤困難となり解雇された場合
特に、パワハラやセクハラが原因で精神的に追い詰められ、結果として出勤できなくなったようなケースは注意が必要です。
このような場合は、会社側に問題があったと認められ、重責解雇ではなく特定受給資格者として扱われることがあります。
また、会社の処分が行為に対して重すぎる場合も、ハローワークが重責解雇と認めないことがあります。
自分のケースがどちらに該当するか迷った場合は、遠慮なくハローワークの窓口で相談してみてください。
重責解雇かどうかは誰が決める?異議申立の方法
重責解雇かどうかの最終判断を行うのは、会社ではなくハローワークです。
会社が離職票に「重責解雇」と記載していても、必ずしもそれがそのまま採用されるわけではありません。
ハローワークは、離職票の内容や会社からの説明、そして離職者本人からの聞き取りを総合的に判断します。
離職票の離職理由に納得できない場合は、異議申立を行うことができます。
異議申立の手順は以下の通りです。
- 離職票の「離職者本人の判断」欄で「異議有り」に丸をつける
- 「具体的事情記載欄(離職者用)」に自分の主張を記載する
- 必要に応じて「離職理由申立書」を別途提出する
- 証拠となる資料(メール、診断書、録音など)を準備しておく
証拠があるかどうかは、異議申立の結果を大きく左右します。
パワハラが原因だった場合は、その事実を示すメールや録音、心療内科の診断書などが有効です。
異議申立をした場合、ハローワークが調査を行い、最終的な判断を下します。
納得できない理由で重責解雇とされている場合は、諦めずに異議申立を検討しましょう。
懲戒解雇後の失業保険|いつから・いくらもらえるのか
懲戒解雇後に失業保険を受給する場合、最も気になるのは「いつから」「いくら」もらえるのかという点でしょう。
これらは重責解雇に該当するかどうかで大きく変わってきます。
重責解雇に該当しない場合は、比較的早く手厚い給付を受けることができます。
一方、重責解雇に該当する場合は、給付制限期間があるため受給開始が遅れます。
ここでは、それぞれのケースについて、具体的な受給スケジュールと金額を解説していきます。
事前に把握しておくことで、退職後の生活設計が立てやすくなるはずです。
重責解雇に該当しない場合の受給スケジュール
重責解雇に該当しない懲戒解雇の場合、特定受給資格者(会社都合退職)と同じ扱いになります。
この場合、7日間の待機期間のみで給付対象期間がスタートします。
給付制限期間がないため、申請から約1ヶ月後には初回の振込を受けることができます。
具体的な流れは以下の通りです。
- ハローワークで求職申込みを行う(受給資格決定日)
- 7日間の待機期間を経過する
- 初回認定日(受給資格決定日から約4週間後)にハローワークへ出頭
- 認定後、約1週間で初回の基本手当が口座に振込
初回の振込は、待機期間の7日間を除いた約3週間分となります。
2回目以降は4週間ごとに認定を受け、28日分ずつ振り込まれる仕組みです。
特定受給資格者として認められれば、給付日数も手厚くなります。
年齢や被保険者期間によっては、最大330日分の給付を受けられる可能性があります。
重責解雇に該当する場合の受給スケジュール
重責解雇に該当する場合は、自己都合退職と同等の扱いになります。
7日間の待機期間に加えて、3ヶ月の給付制限期間が設けられます。
そのため、実際に受給を開始できるのは、申請から約4ヶ月後となります。
重責解雇該当時の受給スケジュールは以下の通りです。
- ハローワークで求職申込みを行う(受給資格決定日)
- 7日間の待機期間を経過する
- 3ヶ月の給付制限期間に入る(この間は給付なし)
- 給付制限期間中に初回認定日がある(ハローワークへの出頭は必要)
- 給付制限期間終了後の認定日から給付開始
- 認定後、約1週間で基本手当が口座に振込
給付制限期間中も、ハローワークへの出頭や求職活動は必要です。
この期間中にアルバイトをすることは可能ですが、働きすぎると「就職した」とみなされる可能性があるので注意が必要です。
3ヶ月間の収入がない期間をどう乗り切るかは、事前に計画を立てておく必要があります。
基本手当日額の計算方法と上限・下限
失業保険でもらえる1日あたりの金額を「基本手当日額」と言います。
基本手当日額は、離職前6ヶ月間の賃金をもとに計算されます。
計算方法は以下の通りです。
賃金日額 = 離職前6ヶ月間の賃金総額(賞与を除く)÷ 180日
基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(45%〜80%)
給付率は賃金日額が低いほど高くなり、賃金の低い方ほど手厚く保障される仕組みになっています。
また、基本手当日額には年齢ごとに上限額と下限額が設定されています。
2024年8月1日以降の基本手当日額の上限・下限は以下の通りです。
| 年齢区分 | 基本手当日額の上限 | 基本手当日額の下限 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 7,065円 | 2,295円 |
| 30〜44歳 | 7,845円 | 2,295円 |
| 45〜59歳 | 8,635円 | 2,295円 |
| 60〜64歳 | 7,420円 | 2,295円 |
「雇用保険では、離職者の「賃金日額」に基づいて「基本手当日額」を算定しています。賃金日額については上限額と下限額を設定しており、「毎月勤労統計」の平均定期給与額の増減により、その額が変更されます」
たとえば、30歳で月給30万円(残業代・手当込み)だった場合、賃金日額は約10,000円となります。
この場合の基本手当日額は約5,000〜6,000円程度が目安となります。
給付日数の一覧表|重責解雇該当・非該当別
基本手当を受け取れる日数(所定給付日数)は、離職理由、年齢、被保険者期間によって異なります。
重責解雇に該当する場合と該当しない場合では、給付日数に大きな差があります。
それぞれの給付日数を表にまとめました。
| 被保険者期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 1年以上10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
※年齢による区分はありません
| 被保険者期間 | 30歳未満 | 30〜34歳 | 35〜44歳 | 45〜59歳 | 60〜64歳 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 | 90日 |
| 1年以上5年未満 | 90日 | 120日 | 150日 | 180日 | 150日 |
| 5年以上10年未満 | 120日 | 180日 | 180日 | 240日 | 180日 |
| 10年以上20年未満 | 180日 | 210日 | 240日 | 270日 | 210日 |
| 20年以上 | ー | 240日 | 270日 | 330日 | 240日 |
このように、重責解雇に該当しない場合は、年齢や被保険者期間によっては最大330日分の給付を受けられます。
一方、重責解雇に該当すると、最大でも150日分にとどまります。
たとえば、45歳で15年間働いていた人が懲戒解雇された場合を考えてみましょう。
重責解雇に該当すると120日分ですが、該当しなければ270日分となり、2倍以上の差があります。
この差は非常に大きいため、重責解雇の該当・非該当は慎重に確認する必要があります。
懲戒解雇後に失業保険を申請する流れ【5ステップ】
懲戒解雇後に失業保険を申請するには、いくつかの手続きが必要です。
手続きを知らないまま放置してしまうと、受給開始が遅れたり、最悪の場合は受給できなくなることもあります。
ここでは、失業保険を申請するための5つのステップを、順を追って解説していきます。
初めての方でも迷わないよう、必要書類や注意点も併せて紹介します。
スムーズに手続きを進めて、一日でも早く生活を安定させましょう。
STEP1|離職票を会社から受け取る
失業保険を申請するためには、まず「離職票」を入手する必要があります。
離職票は、退職後に会社からあなたの住所に郵送されてくる書類です。
通常、退職後10日〜2週間程度で届きます。
離職票を受け取ったら、必ず以下の点を確認してください。
- 離職理由の記載内容が事実と合っているか
- 「重責解雇」にチェックが入っているかどうか
- 被保険者期間や賃金の記載に誤りがないか
離職理由の記載は、失業保険の受給条件を大きく左右する重要な項目です。
事実と異なる記載がある場合は、後のステップで異議申立を行うことになります。
もし2週間以上経っても離職票が届かない場合は、まず会社に問い合わせましょう。
会社が対応してくれない場合は、ハローワークに相談すれば、会社に催促してもらうことができます。
STEP2|ハローワークで求職申込み・受給資格の決定
離職票が届いたら、住所地を管轄するハローワークへ行きましょう。
ハローワークでは、求職の申込みと受給資格の決定を同時に行います。
持参する書類は以下の通りです。
- 離職票-1、離職票-2
- マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類(運転免許証等)
- 証明写真2枚(縦3cm×横2.4cm)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 印鑑(認印可)
ハローワークの窓口では、求職申込書への記入と面談が行われます。
この際、離職理由についても確認されますので、異議がある場合はこのタイミングで申し出ましょう。
「重責解雇」と記載されているが納得できない場合は、その理由と証拠を説明することが大切です。
受給資格が認められると、「雇用保険説明会」の日時が指定されます。
STEP3|雇用保険説明会への出席
受給資格決定後、指定された日時に「雇用保険説明会」に出席する必要があります。
この説明会への参加は必須であり、欠席すると給付が遅れる原因になります。
説明会では、以下の内容について説明を受けます。
- 失業保険の仕組みと受給の流れ
- 求職活動の進め方とルール
- 不正受給に関する注意事項
- 認定日の出頭義務について
説明会の最後に、「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」が交付されます。
これらの書類は今後の手続きで毎回必要になりますので、大切に保管してください。
説明会は通常1〜2時間程度で終了します。
やむを得ない事情で出席できない場合は、事前にハローワークに連絡して日程変更を相談しましょう。
STEP4|7日間の待機期間を経過する
受給資格が決定した日から7日間は「待機期間」と呼ばれ、すべての受給者に共通のルールです。
この期間中は、失業保険の給付対象とはなりません。
待機期間中の注意点は以下の通りです。
- アルバイトや内職をしないこと(待機期間が延長される可能性あり)
- 就職が決まっていない「失業状態」を維持すること
- 病気やケガで働けない場合は別途手続きが必要
待機期間は、本当に失業状態にあるかどうかを確認するための期間です。
この7日間が経過すると、失業が認定される期間がスタートします。
ただし、重責解雇に該当する場合は、この後さらに3ヶ月の給付制限期間があります。
給付制限期間中も、認定日にはハローワークへ出頭する必要がありますので注意してください。
STEP5|認定日にハローワークへ出頭し失業認定を受ける
失業保険を受け取るためには、4週間に1回の「失業認定日」にハローワークへ出頭する必要があります。
認定日には、前回の認定日から今回の認定日の前日までの期間について、求職活動の実績を報告します。
認定日に必要なものは以下の通りです。
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書(求職活動実績を記入したもの)
- 印鑑
求職活動実績として認められるのは、ハローワークでの職業相談、求人への応募、面接、セミナー参加などです。
原則として、認定日と認定日の間に2回以上の求職活動実績が必要です。
認定を受けると、約1週間後に基本手当が指定の口座に振り込まれます。
認定日に無断で欠席すると、その期間の給付は受けられなくなりますので注意してください。
やむを得ない事情がある場合は、必ず事前にハローワークに連絡しましょう。
懲戒解雇は転職に影響する?再就職への不安を解消
懲戒解雇されると、「転職できるのか」「バレたらどうしよう」という不安を抱える方が多いです。
確かに、懲戒解雇という経歴はプラスには働きません。
しかし、必要以上に不安になることもありません。
実は、懲戒解雇の事実が転職先に伝わる機会は限られています。
ここでは、懲戒解雇が転職に与える影響と、面接での対処法について解説します。
正しい知識を持っておくことで、前向きに再就職活動を進められるようになるはずです。
雇用保険の書類から懲戒解雇がバレることはない
転職先に提出する書類から、懲戒解雇の事実がバレることは基本的にありません。
転職時に提出を求められる主な書類と、それぞれに記載される内容は以下の通りです。
| 書類名 | 離職理由の記載 |
|---|---|
| 雇用保険被保険者証 | 記載なし |
| 源泉徴収票 | 記載なし |
| 年金手帳 | 記載なし |
| 離職票 | 記載あり(ただし転職先には提出しない) |
離職票には離職理由が記載されていますが、これはハローワークへの提出書類です。
転職先に提出する書類ではありませんので、見られる心配はありません。
雇用保険受給資格者証にも離職理由は記載されていますが、これも転職先に提出するものではありません。
つまり、書類上から懲戒解雇の事実が転職先に伝わることは、通常の転職活動ではほぼないのです。
前職調査・リファレンスチェックで発覚するリスク
書類からはバレなくても、前職調査やリファレンスチェックで発覚するリスクはゼロではありません。
前職調査とは、転職先の企業が前の会社に連絡して、在籍事実や退職理由を確認することです。
ただし、個人情報保護の観点から、前職の会社が詳細を回答することは少なくなっています。
前職調査で一般的に回答される内容と回答されにくい内容は以下の通りです。
- 回答されやすい内容:在籍期間、退職日、在籍の事実確認
- 回答されにくい内容:退職理由の詳細、懲戒解雇の有無、人事評価
多くの企業は、法的リスクを避けるため「在籍期間」「退職の事実」程度しか回答しない傾向にあります。
とはいえ、一部の企業では詳しく調査するケースもあります。
また、SNSやインターネット上の情報から発覚するケースも増えています。
ニュースになった懲戒解雇事案などは、検索すれば出てくる可能性があるので注意が必要です。
面接で退職理由を聞かれたときの伝え方
面接で退職理由を聞かれることは避けられません。
このとき、嘘をついて経歴詐称をすると、後で発覚した場合に解雇理由になるリスクがあります。
かといって、詳細を話しすぎる必要もありません。
面接で退職理由を伝える際のポイントは以下の通りです。
- 嘘はつかない(発覚時のリスクが大きい)
- 事実を簡潔に伝える(詳細を話しすぎない)
- 反省していることを示す
- 今後の姿勢や成長意欲をアピールする
- ポジティブな形で締めくくる
たとえば、「前職では就業規則に違反する行為があり、退職することになりました。深く反省しており、今後は同じ過ちを繰り返さないよう心がけています」といった伝え方が考えられます。
正直に話した上で採用されるケースも少なくありません。
大切なのは、過去の失敗を認めつつ、そこから学んで成長したことをアピールすることです。
隠すよりも、誠実に対応する方が長期的には良い結果につながることが多いです。
懲戒解雇と失業保険に関するよくある質問
ここまで懲戒解雇と失業保険について詳しく解説してきました。
しかし、まだ疑問が残っている方もいるかもしれません。
この章では、よくある質問とその回答をまとめました。
気になる項目があれば、ぜひ参考にしてください。
懲戒解雇と普通解雇・クビの違いは?
「解雇」にはいくつかの種類があり、それぞれ意味が異なります。
混同しやすいので、違いを整理しておきましょう。
- 懲戒解雇:就業規則違反など、労働者の重大な非行に対する最も重い制裁処分
- 普通解雇:能力不足や勤務態度不良など、労働契約の継続が困難と判断された場合の解雇
- 整理解雇:会社の経営悪化による人員削減のための解雇
- クビ:解雇全般を指す口語表現(正式な法律用語ではない)
懲戒解雇は「懲戒処分」の一種であり、制裁的な意味合いが強いのが特徴です。
会社の就業規則に定められた手続きに従って行われます。
一方、普通解雇は懲戒的な意味合いはなく、会社と労働者の間で雇用関係を継続することが困難になった場合に行われます。
「クビ」は俗語であり、懲戒解雇なのか普通解雇なのかは、正式な書類で確認する必要があります。
懲戒解雇されると何が不利になる?
懲戒解雇されると、いくつかの点で不利益を被る可能性があります。
主な不利益は以下の通りです。
- 退職金が不支給または減額になることが多い
- 重責解雇に該当する場合、失業保険に3ヶ月の給付制限がつく
- 転職活動で退職理由を聞かれた際に説明が必要になる
- 同業他社への転職が難しくなる可能性がある
特に退職金については、会社の規程によっては全額不支給となるケースもあります。
ただし、これらの不利益は懲戒解雇の内容や状況によって異なります。
すべてのケースで最悪の結果になるわけではありませんので、諦めずに自分の権利を確認しましょう。
懲戒解雇されても退職金はもらえる?
懲戒解雇された場合の退職金については、会社の退職金規程によって異なります。
一般的には、懲戒解雇の場合は退職金が不支給または大幅に減額されるケースが多いです。
しかし、必ずしも全額不支給が認められるわけではありません。
退職金に関するポイントは以下の通りです。
- 退職金の支給・不支給は会社の退職金規程による
- 懲戒解雇でも全額不支給が無効となった判例がある
- 長年の勤続への対価として、一部支給が認められるケースもある
- 納得できない場合は弁護士や労働基準監督署に相談可能
退職金は「賃金の後払い」という性質を持つため、裁判では懲戒解雇でも全額不支給は認められないとする判例もあります。
退職金の金額が大きい場合は、専門家に相談することをおすすめします。
懲戒解雇は会社都合退職として扱われる?
懲戒解雇が会社都合退職として扱われるかどうかは、「重責解雇」に該当するかどうかによります。
結論をまとめると以下の通りです。
| 重責解雇の該当 | 失業保険上の扱い |
|---|---|
| 該当する | 自己都合退職と同等の扱い |
| 該当しない | 会社都合退職(特定受給資格者)扱いの可能性あり |
重責解雇に該当する場合は、たとえ会社側からの解雇であっても、失業保険上は自己都合退職と同等に扱われます。
一方、重責解雇に該当しない懲戒解雇の場合は、会社都合退職として特定受給資格者になる可能性があります。
最終判断はハローワークが行いますので、自分がどちらに該当するか不明な場合は、窓口で確認しましょう。

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