会社の倒産や解雇など、予期せぬ形で退職を余儀なくされた方にとって、失業保険(雇用保険の基本手当)は生活を支える重要な制度です。
「会社都合退職だとどのくらいお金がもらえるの?」「自己都合との違いは?」「手続きはどうすればいい?」など、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、会社都合退職における失業保険の受給条件や金額、具体的な手続き方法まで詳しく解説します。
あなたの状況に合った正しい知識を身につけて、安心して次のステップに進みましょう。
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失業保険の会社都合退職とは?認定される具体的なケース
失業保険における「会社都合退職」とは、労働者自身の意思ではなく、会社側の事情によって退職を余儀なくされた場合を指します。
正式には雇用保険法上の「特定受給資格者」として認定されることで、失業給付において様々な優遇措置を受けられるようになります。
会社都合退職に該当するかどうかは、最終的にはハローワークが判断しますが、事前に該当するケースを把握しておくことで、適切な手続きを進められます。
自分では「会社都合だ」と思っていても、条件を満たさないケースもあるため、具体的なパターンをしっかり確認しておきましょう。
会社都合退職に該当する主なパターン
会社都合退職として認められるケースは、大きく分けて「倒産等による離職」と「解雇等による離職」の2つに分類されます。
ハローワークインターネットサービスでは、特定受給資格者の範囲として以下のような事例が挙げられています。
- 会社の倒産(破産、民事再生、会社更生等)に伴う離職
- 事業所の廃止や事業活動の停止による離職
- 大量雇用変動(1ヶ月に30人以上の離職予定)があった場合の離職
- 事業所の移転により通勤が困難になったことによる離職
- 会社からの解雇(重大な自己責任によるものを除く)
- 労働条件が契約時の内容と大きく異なっていたことによる離職
- 給与の未払いや大幅な減額があった場合の離職
- 退職勧奨を受けたことによる離職
- パワハラやセクハラなどのハラスメントによる離職
- 長時間の残業が続いたことによる離職
参考:ハローワークインターネットサービス「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要」
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_range.html
特に見落としがちなのが、残業時間に関する基準です。
離職前の6ヶ月間で「連続する3ヶ月で月45時間超」「いずれか1ヶ月で100時間超」「連続する2ヶ月以上の平均で月80時間超」のいずれかに該当すれば、自分から退職を申し出た場合でも会社都合として認められる可能性があります。
会社都合として認定されないケースに注意
会社都合退職と思われがちでも、実際には認定されないケースがあります。
特に注意が必要なのが「懲戒解雇」です。
自己の責めに帰すべき重大な理由による解雇、つまり横領や重大な規律違反などを理由とした懲戒解雇は、会社都合退職には該当しません。
また、以下のようなケースも自己都合退職として扱われることがあります。
| 注意すべきケース | 判断のポイント |
|---|---|
| 早期退職優遇制度への応募 | 会社から恒常的に設けられている制度に自ら応募した場合は自己都合 |
| 退職届の提出 | 会社から強制されていない状況で自発的に退職届を出した場合 |
| 契約期間満了 | 当初から更新なしと明示されていた有期契約の満了 |
| 軽微なトラブル | 一時的な人間関係のトラブルなど、客観的に退職やむなしとは言えない場合 |
会社から「自己都合で辞めてほしい」と言われても、実際に退職勧奨があった場合は会社都合に該当します。
退職理由について会社と認識が異なる場合は、ハローワークで事情を説明し、適切な判断を仰ぐことが重要です。
【比較表付き】失業保険は会社都合と自己都合でここが違う
失業保険の受給において、会社都合退職と自己都合退職では待遇が大きく異なります。
どちらに該当するかによって、受給開始までの期間、もらえる金額の総額、必要な手続きまで変わってくるため、その違いをしっかり把握しておくことが大切です。
2025年4月の雇用保険法改正により、自己都合退職の給付制限期間が短縮されましたが、それでも会社都合退職の方が有利な条件であることに変わりはありません。
ここでは、両者の具体的な違いを詳しく見ていきましょう。
給付制限期間の有無
会社都合退職と自己都合退職の最も大きな違いは「給付制限期間」の有無です。
会社都合退職の場合は、7日間の待期期間を過ぎればすぐに失業給付の受給が始まります。
一方、自己都合退職の場合は、7日間の待期期間に加えて給付制限期間が設けられています。
| 退職理由 | 待期期間 | 給付制限期間 | 受給開始までの目安 |
|---|---|---|---|
| 会社都合退職 | 7日間 | なし | 約1ヶ月後 |
| 自己都合退職(2025年4月以降) | 7日間 | 原則1ヶ月 | 約1.5〜2ヶ月後 |
| 自己都合退職(5年間で3回以上の場合) | 7日間 | 3ヶ月 | 約4ヶ月後 |
2025年4月の法改正前は自己都合退職の給付制限期間が原則2ヶ月でしたが、現在は1ヶ月に短縮されています。
ただし、5年間で3回以上正当な理由なく自己都合退職している場合は、給付制限期間が3ヶ月となります。
また、2025年4月以降に教育訓練を受講した場合は、自己都合退職でも給付制限が解除される新制度が導入されました。
給付日数の違い
失業保険をもらえる日数(所定給付日数)も、退職理由によって大きく異なります。
会社都合退職の場合は、年齢や雇用保険の加入期間に応じて90日〜330日分の給付を受けられます。
自己都合退職の場合は年齢に関係なく、雇用保険の加入期間のみで給付日数が決まり、最長でも150日となっています。
| 雇用保険加入期間 | 給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
| 年齢\加入期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
|---|---|---|---|---|---|
| 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | ― |
| 30〜34歳 | 90日 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 |
| 35〜44歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 240日 | 270日 |
| 45〜59歳 | 90日 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 |
| 60〜64歳 | 90日 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
このように、同じ条件でも会社都合退職の方が最大で180日分も多く給付を受けられる可能性があります。
受給開始までのスケジュール比較
実際に失業保険を受け取れるまでの流れを、会社都合と自己都合で比較してみましょう。
- 退職後、離職票を受け取る(退職後10日〜2週間程度)
- ハローワークで求職申込・受給資格決定
- 7日間の待期期間
- 雇用保険受給説明会に参加
- 初回失業認定日(受給資格決定から約4週間後)
- 初回振込(認定日から約1週間後)
- 退職後、離職票を受け取る(退職後10日〜2週間程度)
- ハローワークで求職申込・受給資格決定
- 7日間の待期期間
- 1ヶ月の給付制限期間
- 雇用保険受給説明会に参加
- 初回失業認定日
- 初回振込
会社都合退職であれば、手続きを速やかに進めることで退職後約1ヶ月程度で最初の給付を受け取れます。
自己都合退職の場合は、給付制限期間があるため、最初の給付まで約2ヶ月以上かかることになります。
失業保険が会社都合の場合は何ヶ月もらえる?給付日数一覧
「会社都合で退職した場合、失業保険は何ヶ月もらえるの?」という疑問は、多くの方が抱えるものです。
結論から言えば、会社都合退職の場合は最短で90日(約3ヶ月)、最長で330日(約11ヶ月)の給付を受けられます。
給付日数は「離職時の年齢」と「雇用保険の加入期間」の2つの要素によって決まります。
自己都合退職と比べて手厚い保障が受けられるのが、会社都合退職の大きなメリットです。
年齢×雇用保険加入期間別の給付日数早見表
会社都合退職(特定受給資格者)の所定給付日数を、年齢と加入期間別に整理しました。
ご自身の状況に当てはめて、何日分の給付を受けられるか確認してみてください。
| 加入期間 | 給付日数 | 月数換算(目安) |
|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | 約3ヶ月 |
| 1年以上5年未満 | 90日 | 約3ヶ月 |
| 5年以上10年未満 | 120日 | 約4ヶ月 |
| 10年以上20年未満 | 180日 | 約6ヶ月 |
| 加入期間 | 給付日数 | 月数換算(目安) |
|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | 約3ヶ月 |
| 1年以上5年未満 | 120日 | 約4ヶ月 |
| 5年以上10年未満 | 180日 | 約6ヶ月 |
| 10年以上20年未満 | 210日 | 約7ヶ月 |
| 20年以上 | 240日 | 約8ヶ月 |
| 加入期間 | 給付日数 | 月数換算(目安) |
|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | 約3ヶ月 |
| 1年以上5年未満 | 150日 | 約5ヶ月 |
| 5年以上10年未満 | 180日 | 約6ヶ月 |
| 10年以上20年未満 | 240日 | 約8ヶ月 |
| 20年以上 | 270日 | 約9ヶ月 |
| 加入期間 | 給付日数 | 月数換算(目安) |
|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | 約3ヶ月 |
| 1年以上5年未満 | 180日 | 約6ヶ月 |
| 5年以上10年未満 | 240日 | 約8ヶ月 |
| 10年以上20年未満 | 270日 | 約9ヶ月 |
| 20年以上 | 330日 | 約11ヶ月 |
| 加入期間 | 給付日数 | 月数換算(目安) |
|---|---|---|
| 1年未満 | 90日 | 約3ヶ月 |
| 1年以上5年未満 | 150日 | 約5ヶ月 |
| 5年以上10年未満 | 180日 | 約6ヶ月 |
| 10年以上20年未満 | 210日 | 約7ヶ月 |
| 20年以上 | 240日 | 約8ヶ月 |
最も手厚いのは45歳以上60歳未満で雇用保険に20年以上加入していた方で、330日分の給付を受けられます。
この年齢層は転職市場での厳しさを考慮し、長期間の給付が認められています。
給付日数を最大限活用するためのポイント
所定給付日数をフルに活用するために、いくつかのポイントを押さえておきましょう。
受給期間は原則1年間
失業保険の受給期間は、離職日の翌日から1年間と定められています。
手続きが遅れると、給付日数が残っていても期限切れで受け取れなくなってしまいます。
退職後はできるだけ早くハローワークで手続きを行うことが重要です。
加入期間の区切りに注意
雇用保険の加入期間が「4年11ヶ月」と「5年1ヶ月」では、給付日数が大きく変わるケースがあります。
退職日を調整できる場合は、加入期間の節目を意識することで、より多くの給付を受けられる可能性があります。
年齢の境目にも注目
離職時の年齢によっても給付日数が変わります。
たとえば、44歳と45歳では同じ加入期間でも給付日数が異なる場合があります。
退職時期を選べる状況であれば、誕生日を考慮に入れることも一つの方法です。
失業保険の受給額はいくら?会社都合退職の金額シミュレーション
「実際にいくらもらえるのか」は、退職後の生活設計において最も気になるポイントです。
失業保険の受給額は、退職前の給与をもとに計算される「基本手当日額」に、給付日数を掛けて算出されます。
会社都合退職だから日額が増えるわけではありませんが、給付日数が多いため、総額では自己都合退職よりも多くの給付を受けられます。
ここでは、基本手当日額の計算方法と、具体的な受給額のシミュレーションを見ていきましょう。
基本手当日額の計算方法
基本手当日額は、以下の手順で計算されます。
ステップ1:賃金日額を算出する
賃金日額は、離職前6ヶ月間に支払われた賃金の総額を180で割って求めます。
ここでいう賃金には、基本給のほか残業代や各種手当も含まれますが、ボーナス(賞与)は含まれません。
賃金日額 = 離職前6ヶ月間の賃金総額 ÷ 180
ステップ2:給付率を適用する
賃金日額に対して、年齢や賃金水準に応じた給付率(50%〜80%)を掛けます。
賃金が低い方ほど給付率は高く設定されており、最低限の生活保障が図られています。
ステップ3:上限額・下限額を確認する
基本手当日額には、年齢に応じた上限額と全年齢共通の下限額が設定されています。
2025年8月1日以降の上限額・下限額は以下のとおりです。
| 年齢区分 | 基本手当日額の上限 |
|---|---|
| 29歳以下 | 6,945円 |
| 30〜44歳 | 7,715円 |
| 45〜59歳 | 8,490円 |
| 60〜64歳 | 7,294円 |
| 下限額(全年齢共通) | 2,196円 |
これらの上限額・下限額は、毎年8月1日に改定されます。
【具体例】月収別の受給額シミュレーション
実際の受給額のイメージをつかむため、月収別のシミュレーションを見てみましょう。
なお、これらはあくまで概算であり、実際の金額はハローワークで確認する必要があります。
- 賃金日額:約6,666円
- 基本手当日額:約5,000円(給付率約75%)
- 所定給付日数:240日(会社都合の場合)
- 受給総額:約120万円
- 賃金日額:約10,000円
- 基本手当日額:約6,000〜6,500円(給付率約60〜65%)
- 所定給付日数:240日(会社都合の場合)
- 受給総額:約144〜156万円
- 賃金日額:約13,333円
- 基本手当日額:約7,500〜8,000円(給付率約56〜60%)
- 所定給付日数:330日(会社都合の場合)
- 受給総額:約247〜264万円
月収が高くても、基本手当日額には上限があるため、在職時の給与がそのまま保障されるわけではありません。
それでも会社都合退職の場合は給付日数が多いため、自己都合退職と比べて総額で数十万円〜100万円以上の差が出ることもあります。
会社都合で失業保険をもらう際の手続き手順
会社都合で退職した場合でも、失業保険は自動的に振り込まれるわけではありません。
ハローワークで所定の手続きを行い、定期的に失業認定を受けることで初めて給付を受けられます。
手続きが遅れると受給開始も遅れてしまうため、退職後はできるだけ早く行動することが大切です。
ここでは、失業保険を受給するまでの具体的な手順を順を追って解説します。
STEP1|離職票を会社から受け取る
失業保険の手続きで最も重要な書類が「離職票」です。
離職票には「離職票-1」と「離職票-2」の2種類があり、退職後に会社から交付されます。
通常、退職から10日〜2週間程度で届きますが、届かない場合は会社に催促しましょう。
離職票-2には退職理由が記載されており、この内容が「会社都合」か「自己都合」かの判断材料となります。
届いたら必ず記載内容を確認し、事実と異なる場合は会社に訂正を依頼するか、ハローワークで異議を申し立てることができます。
STEP2|ハローワークで求職申込・受給資格決定
離職票を受け取ったら、住所地を管轄するハローワークに行きます。
- 離職票-1、離職票-2
- マイナンバーカードまたは通知カード+本人確認書類
- 証明写真2枚(縦3cm×横2.5cm)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
- 印鑑(認印可)
ハローワークでは、求職の申し込みを行うとともに、受給資格があるかどうかの審査を受けます。
この日が「受給資格決定日」となり、失業保険受給の起点となります。
STEP3|7日間の待期期間を過ごす
受給資格決定日から7日間は「待期期間」と呼ばれ、失業状態にあることを確認するための期間です。
この期間中は、アルバイトを含めて一切の就労が認められていません。
もし待期期間中に収入を得た場合は、その日数分だけ待期期間が延長されます。
会社都合退職の場合は、この7日間を過ぎれば給付制限なく受給期間がスタートします。
STEP4|雇用保険受給説明会へ参加
待期期間が終わると、ハローワークが開催する「雇用保険受給説明会」に参加します。
説明会は、受給資格決定日から1〜3週間後に設定されることが多いです。
説明会では、失業保険の仕組みや受給中のルール、求職活動の進め方などについて説明を受けます。
説明会に参加することで「雇用保険受給資格者証」が交付され、初回の失業認定日も通知されます。
なお、この説明会への参加は求職活動実績としてカウントされます。
STEP5|失業認定日に出向き、支給決定
初回の失業認定日は、受給資格決定日から約4週間後に設定されます。
指定された日にハローワークに出向き、失業認定申告書を提出して失業状態の認定を受けます。
会社都合退職の場合、初回認定日までに必要な求職活動実績は最低1回です。
説明会への参加が1回としてカウントされるため、実質的には追加の活動なしでも初回認定を受けられます。
失業認定を受けると、約1週間以内(通常2〜3日)で指定口座に失業保険が振り込まれます。
その後は4週間ごとに失業認定日があり、その都度求職活動実績(原則2回以上)を報告して認定を受けることで、継続的に給付を受けられます。
自己都合と会社都合はどっちが得?メリット・デメリットを比較
「自己都合退職と会社都合退職、どちらが得なのか」という疑問を持つ方は少なくありません。
失業保険の観点だけで見れば、会社都合退職の方が明らかに有利です。
ただし、転職活動への影響など、金銭面以外の要素も考慮する必要があります。
ここでは、それぞれのメリット・デメリットを整理して、総合的な判断材料を提供します。
会社都合退職のメリット
会社都合退職には、失業保険に関して多くのメリットがあります。
給付制限期間がない
最大のメリットは、7日間の待期期間のみで給付が開始されることです。
自己都合退職のように1〜3ヶ月の給付制限を待つ必要がないため、退職後の生活資金を早期に確保できます。
給付日数が多い
前述のとおり、会社都合退職は自己都合退職と比べて給付日数が大幅に多くなります。
45〜59歳で20年以上勤務していた場合、自己都合なら150日のところ、会社都合なら330日と2倍以上の差があります。
受給条件が緩和される
通常、失業保険を受けるには「離職前2年間で12ヶ月以上」の雇用保険加入が必要です。
しかし会社都合退職の場合は「離職前1年間で6ヶ月以上」に緩和されるため、入社して間もない方でも受給できる可能性があります。
解雇予告手当を受け取れる可能性
解雇の場合、会社は原則として30日以上前に予告するか、平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う義務があります。
会社都合退職のデメリット
一方で、会社都合退職には以下のようなデメリットも考えられます。
転職時に説明を求められることがある
履歴書や面接で退職理由を聞かれた際、「解雇された」という事実に対してネガティブな印象を持たれる可能性があります。
ただし、倒産やリストラなど本人に非がない理由であれば、正直に説明すれば問題ないケースがほとんどです。
自分で退職時期をコントロールできない
会社都合退職は、会社の事情によって退職を余儀なくされるものです。
自分の都合の良いタイミングで退職できるわけではなく、転職活動の準備が十分でない状態で退職することになる場合もあります。
自己都合退職のメリット・デメリット
- 退職理由を自分でコントロールできる
- 転職活動において退職理由の説明がしやすい
- 十分な準備期間を確保して円満退社できる
- 給付制限期間(原則1ヶ月)がある
- 給付日数が会社都合と比べて短い(最長150日)
- 受給条件が厳しい(離職前2年間で12ヶ月以上の加入が必要)
失業保険を最大限活用したい場合は会社都合退職の方が有利ですが、長期的なキャリア形成を考えると、自己都合退職でも計画的に転職活動を進められるメリットがあります。
重要なのは、退職理由を偽らないことです。
会社から自己都合退職を強要されても、実態が会社都合であればハローワークに申し立てることができます。
会社都合退職に企業側のペナルティはある?会社が嫌がる理由
「会社都合で退職したい」と申し出ると、会社から難色を示されることがあります。
これは、会社都合退職が企業側にとってデメリットをもたらすためです。
なぜ会社が会社都合退職を避けたがるのかを理解しておくと、退職交渉をスムーズに進められます。
会社側に生じるデメリットとは
会社都合退職が発生すると、企業は以下のようなデメリットを受けることがあります。
雇用関係助成金が受給できなくなる
最大のデメリットは、各種雇用関係助成金の受給に影響が出ることです。
多くの助成金では「一定期間内に会社都合退職者を出していないこと」が支給要件となっています。
| 助成金名 | 会社都合退職の影響 |
|---|---|
| キャリアアップ助成金 | 正社員化日の前後6ヶ月〜1年に該当者がいると不支給 |
| トライアル雇用助成金 | 一定期間内に該当者がいると不支給 |
| 特定求職者雇用開発助成金 | 一定期間内に該当者がいると不支給 |
| 人材開発支援助成金 | 一定期間内に該当者がいると不支給 |
不当解雇で訴訟リスクが生じる
会社都合退職(解雇)の場合、労働者から「不当解雇」として訴えられるリスクがあります。
解雇には正当な理由が必要であり、理由が不十分だと無効とされ、賃金の支払いや慰謝料請求につながる可能性があります。
企業イメージへの影響
リストラや解雇が頻繁に行われている会社は、求人市場での評判が下がり、優秀な人材の採用が難しくなることがあります。
また、SNSなどで元従業員から批判的な投稿をされるリスクもあります。
会社が自己都合にしたがる理由と対処法
以上の理由から、会社は会社都合退職を避けようとすることがあります。
実際には退職勧奨や解雇に近い状況でも、「自己都合で退職届を出してほしい」と言われるケースは珍しくありません。
しかし、このような行為は労働者の権利を侵害するものであり、応じる必要はありません。
対処法1:離職票の記載内容を確認する
離職票-2には退職理由が記載されています。
会社が記載した理由に異議がある場合は、「離職者本人の判断」欄で「異議あり」にチェックし、具体的な事情を記載できます。
対処法2:ハローワークに事実を申し立てる
最終的な退職理由の判断は、ハローワークが行います。
会社と労働者で認識が異なる場合、ハローワークは双方から事情を聴取し、客観的な証拠をもとに判断します。
メールや録音、タイムカードなどの証拠を残しておくと、自分の主張を裏付けることができます。
対処法3:労働基準監督署や弁護士に相談する
会社が不当な圧力をかけてくる場合は、労働基準監督署や弁護士に相談することも選択肢です。
退職強要やパワハラがあった場合、それ自体が会社都合退職の根拠となる可能性もあります。
失業保険が会社都合になった場合のよくある疑問
会社都合退職と失業保険に関しては、様々な疑問が寄せられます。
ここでは、特に多い質問とその回答をまとめました。
正確な情報を把握して、不安を解消しましょう。
会社都合になると具体的に何が変わる?
会社都合退職(特定受給資格者)として認定されると、以下の点が変わります。
- 7日間の待期期間後すぐに給付が開始される(給付制限なし)
- 所定給付日数が増える(年齢と加入期間に応じて90日〜330日)
- 受給資格要件が緩和される(離職前1年間で6ヶ月以上の加入でOK)
- 国民健康保険料の軽減措置を受けられる場合がある
特に経済的なインパクトが大きいのは、給付制限がないことと給付日数が増えることです。
同じ人が会社都合と自己都合で退職した場合、受け取れる総額に100万円以上の差が出ることも珍しくありません。
自己都合退職をあとから会社都合に変更できる?
条件を満たせば、あとから会社都合に変更できる可能性があります。
退職時に自己都合として処理されていても、以下のような場合はハローワークに申し立てることで会社都合と認められることがあります。
- 実際には退職勧奨を受けていた
- ハラスメントが原因で退職せざるを得なかった
- 給与の大幅な減額や未払いがあった
- 労働条件が契約時と大きく異なっていた
- 長時間の残業が続いていた
申し立てを行う際は、客観的な証拠(メール、LINE、録音、タイムカード、診断書など)があると有利です。
離職票の「具体的事情記載欄(離職者用)」に自分の主張を記載し、「事業主が〇を付けた離職理由に異議 有り」と記載することで、ハローワークに判断を求められます。
会社都合でも失業保険がもらえないケースはある?
会社都合退職であっても、以下の場合は失業保険を受給できません。
雇用保険の加入期間が不足している場合
会社都合退職でも、離職前1年間に6ヶ月以上の雇用保険加入が必要です。
入社後すぐに解雇されたような場合は、この条件を満たせない可能性があります。
就職の意思がない場合
失業保険は、再就職を目指す人のための制度です。
専業主婦(主夫)になる、しばらく働く気がない、などの場合は受給できません。
すぐに就職できる状態にない場合
病気やケガ、妊娠・出産などで、すぐに働ける状態にない場合は受給できません。
ただし、これらの場合は受給期間の延長措置を受けることができ、状況が改善してから受給を開始することが可能です。
65歳以上で退職した場合
65歳以上で退職した場合は、通常の失業保険(基本手当)ではなく「高年齢求職者給付金」という一時金の形で支給されます。
失業保険を会社都合でスムーズに受給するための3つのコツ
会社都合退職でも、手続きの進め方次第では受給が遅れたり、本来受けられるはずの給付を逃してしまったりすることがあります。
最後に、スムーズに失業保険を受給するための3つのコツをお伝えします。
退職前に証拠を残しておく
会社都合退職として認められるためには、客観的な証拠が重要です。
退職を考え始めた段階から、以下のような記録を残しておきましょう。
- 退職勧奨を受けた際のメールやメモ
- ハラスメントがあった場合の日時、内容、目撃者の記録
- 残業時間が分かるタイムカードや勤怠記録
- 労働条件の変更を通知する書面
- 体調を崩した場合の診断書
これらの証拠は、ハローワークでの判断や、万が一の労働紛争においても役立ちます。
退職後に証拠を集めるのは難しいため、在職中から意識して記録を残すことが大切です。
離職票の記載内容を必ず確認する
離職票が届いたら、すぐに内容を確認しましょう。
特に重要なのは「離職理由」の欄です。
会社が「自己都合」と記載していても、実態が異なる場合は黙って受け入れる必要はありません。
離職票-2の「⑯離職者本人の判断」欄で異議を申し立てることができます。
また、退職前6ヶ月間の賃金も正確に記載されているか確認しましょう。
賃金額が実際より少なく記載されていると、基本手当日額が下がってしまいます。
困ったときは専門家に相談する
手続きが複雑で分からない、会社とトラブルになっているなど、困ったときは専門家に相談しましょう。
ハローワーク
失業保険に関する最も基本的な相談窓口です。
受給条件や手続き方法など、分からないことは遠慮なく質問しましょう。
労働基準監督署
賃金未払いや違法な解雇など、労働基準法違反の疑いがある場合に相談できます。
弁護士・社会保険労務士
不当解雇や複雑な労働紛争がある場合は、専門家のサポートを受けることで適切な対応が取れます。
退職給付金の申請代行サービス
「手続きが面倒」「できるだけ多く受給したい」という方は、申請代行サービスの利用も選択肢です。
専門知識を持ったスタッフが、書類作成から申請までサポートしてくれます。
会社都合退職は、労働者にとって不本意な形での退職かもしれません。
しかし、失業保険をはじめとする様々な制度を正しく活用することで、次のキャリアに向けた準備期間を確保できます。
この記事で紹介した内容を参考に、適切な手続きを進めて、安心して再スタートを切ってください。

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