実は、退職後に受け取れるお金は失業手当だけではありません。
条件を満たせば、最大で12種類もの給付金や手当を受け取れる可能性があるのです。
しかし、これらの制度は自分から申請しなければ1円ももらえません。
申請期限を過ぎてしまったり、そもそも制度の存在を知らなかったりして、本来受け取れるはずのお金を逃してしまう人が後を絶たないのが現状です。
この記事では、退職したらもらえるお金の全12種類について、受給条件から申請方法、具体的な金額まで徹底的に解説します。
この記事で分かること
- 退職後にもらえる12種類の給付金・手当の一覧と金額目安
- 自己都合退職と会社都合退職でもらえるお金の違い
- 各給付金の受給条件と必要書類
- ハローワークでの申請手続きの流れ
- 「退職給付金200万円」の広告は本当なのか
- 申請時に気をつけるべき5つの注意点
結論からお伝えすると、退職後にもらえる主なお金は以下の12種類です。
| 給付金の種類 | 支給元 | 金額の目安 |
|---|---|---|
| 失業手当(基本手当) | 雇用保険 | 月額約15〜25万円×90〜330日 |
| 再就職手当 | 雇用保険 | 失業手当残額の60〜70% |
| 就業促進定着手当 | 雇用保険 | 賃金低下分の差額補填 |
| 教育訓練給付金 | 雇用保険 | 受講費用の20〜70% |
| 教育訓練支援給付金 | 雇用保険 | 基本手当日額の60%相当 |
| 傷病手当金 | 健康保険 | 給与の約2/3×最長1年6ヶ月 |
| 傷病手当(雇用保険) | 雇用保険 | 基本手当と同額 |
| 広域求職活動費 | 雇用保険 | 交通費・宿泊費の実費 |
| 移転費 | 雇用保険 | 引越費用+着後手当 |
| 特例一時金 | 雇用保険 | 基本手当日額×40日分 |
| 高年齢求職者給付金 | 雇用保険 | 基本手当日額×30〜50日分 |
| 求職者支援制度 | 国 | 月10万円+通所手当 |
これらの給付金を最大限に活用すれば、退職後の生活費の不安を大幅に軽減できます。
ただし、給付金の申請手続きは複雑で、条件も細かく定められています。
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退職したらもらえるお金12種類の一覧と金額・条件まとめ
退職後に受け取れるお金には、国の制度に基づく公的給付金と、会社独自の制度によるものがあります。
公的給付金だけでも12種類あり、それぞれ支給元や受給条件、申請先が異なります。
「自分はどの給付金がもらえるのか」「いくらくらい受け取れるのか」を把握しておくことで、退職後の生活設計がしやすくなります。
ここでは、退職したらもらえるお金12種類の概要を一覧表で比較し、それぞれの特徴を分かりやすく解説します。
【一覧表】退職したらもらえるお金12種類の比較
退職後にもらえる12種類の給付金を、支給元・金額の目安・主な条件で比較した一覧表をご紹介します。
まずは全体像を把握して、自分が該当しそうな給付金をチェックしてみてください。
| No. | 給付金名 | 支給元 | 金額の目安 | 主な受給条件 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 失業手当(基本手当) | 雇用保険 | 賃金日額の50〜80%を90〜330日分 | 雇用保険加入12ヶ月以上、求職活動中 |
| 2 | 再就職手当 | 雇用保険 | 残日数×基本手当日額×60〜70% | 失業手当の残日数3分の1以上で早期再就職 |
| 3 | 就業促進定着手当 | 雇用保険 | 賃金低下分の差額(上限あり) | 再就職手当受給後6ヶ月以上勤務し賃金低下 |
| 4 | 教育訓練給付金 | 雇用保険 | 受講費用の20〜70% | 厚労省指定の講座を修了 |
| 5 | 教育訓練支援給付金 | 雇用保険 | 基本手当日額の60%相当 | 45歳未満で専門実践教育訓練を受講 |
| 6 | 傷病手当金 | 健康保険 | 給与の約3分の2×最長1年6ヶ月 | 業務外の病気・ケガで就労不能 |
| 7 | 傷病手当(雇用保険) | 雇用保険 | 基本手当と同額 | 求職中に15日以上就労不能 |
| 8 | 広域求職活動費 | 雇用保険 | 交通費・宿泊費の実費支給 | ハローワーク紹介で200km以上の遠方面接 |
| 9 | 移転費 | 雇用保険 | 引越費用+着後手当(最大9.5万円) | 就職のため住居変更が必要 |
| 10 | 特例一時金 | 雇用保険 | 基本手当日額×40日分 | 季節労働者など短期雇用の方 |
| 11 | 高年齢求職者給付金 | 雇用保険 | 基本手当日額×30〜50日分 | 65歳以上で離職 |
| 12 | 求職者支援制度 | 国 | 月10万円+通所手当(最大4.25万円) | 雇用保険の対象外で職業訓練を受講 |
上記のほかに、会社独自の制度として「退職金」「未払い賃金・残業代」「企業年金」などがあります。
これらは法律で義務付けられているものではないため、会社によって有無や金額が大きく異なります。
退職前に就業規則や退職金規程を確認しておくことをおすすめします。
給付金の中で最も多くの人が対象となるのは、1番目の「失業手当(基本手当)」です。
雇用保険に加入していた期間が一定以上あり、求職活動を行う意思がある方であれば、多くの場合受給できます。
また、病気やケガで退職する場合は「傷病手当金」、早期に再就職が決まった場合は「再就職手当」など、状況に応じて複数の給付金を受け取れる可能性があります。
重要なのは、これらの給付金は申請しなければもらえないという点です。
会社や役所から自動的に振り込まれるわけではないため、自分が該当する給付金を把握し、期限内に申請手続きを行う必要があります。
退職給付金と失業手当の違いとは?正しい用語の理解
インターネットで退職後のお金について調べると、「退職給付金」「失業手当」「失業保険」「退職金」など、似たような言葉がたくさん出てきます。
これらの用語を正しく理解しておかないと、制度の仕組みを誤解してしまう可能性があります。
ここでは、混同しやすい用語の違いを整理して解説します。
| 用語 | 意味 | 支給元 |
|---|---|---|
| 退職給付金 | 退職後にもらえるお金の総称(正式な制度名ではない) | ー |
| 失業手当(基本手当) | 雇用保険から支給される公的給付金の正式名称 | 雇用保険 |
| 失業保険 | 「雇用保険」の通称。失業手当と同じ意味で使われることが多い | 雇用保険 |
| 退職金 | 会社が独自に設ける制度。法的義務はない | 会社 |
まず知っておいていただきたいのは、「退職給付金」という名称の公的制度は存在しないということです。
退職給付金という言葉は、退職後にもらえるお金の総称として使われているに過ぎません。
そのため、「退職給付金をもらう」といった場合、失業手当のことを指しているのか、退職金のことなのか、あるいは傷病手当金など複数の給付金を合わせたものなのかは、文脈によって異なります。
一方、「失業手当」は雇用保険制度に基づく公的給付金であり、正式名称は「基本手当」といいます。
厚生労働省の公式サイトでも「基本手当」と表記されていますが、一般的には「失業手当」「失業保険」「失業給付」などと呼ばれることが多いです。
「退職金」は、会社が独自に設けている制度であり、失業手当とは全く別のものです。
法律で支払いが義務付けられているわけではないため、退職金制度がない会社も存在します。
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職金制度がある企業の割合は74.9%となっています。
つまり、約4社に1社は退職金制度がありません。
自分の会社に退職金制度があるかどうかは、就業規則や退職金規程で確認できます。
分からない場合は、人事部や総務部に問い合わせてみましょう。
自己都合退職でももらえるお金と会社都合退職の違い
退職理由が「自己都合」か「会社都合」かによって、もらえるお金の金額や支給開始時期が大きく変わります。
この違いを知らないまま退職してしまうと、本来もらえるはずのお金を逃してしまったり、予想以上に支給開始が遅れて生活に困ってしまったりする可能性があります。
ここでは、自己都合退職と会社都合退職の違いを詳しく解説します。
| 項目 | 自己都合退職 | 会社都合退職 |
|---|---|---|
| 失業手当の給付制限 | 原則2ヶ月(3回目以降は3ヶ月) | なし |
| 失業手当の支給開始 | 約2ヶ月半〜3ヶ月後 | 約7日後 |
| 失業手当の給付日数 | 90〜150日 | 90〜330日 |
| 失業手当の最大受給額 | 約118万円 | 約260万円 |
| 退職金の支給率 | 減額されることが多い(70〜80%程度) | 満額支給が一般的 |
| 雇用保険の加入期間要件 | 離職前2年間で12ヶ月以上 | 離職前1年間で6ヶ月以上 |
自己都合退職とは、転職や引越し、結婚など、自分の意思で退職することを指します。
自己都合退職の場合、失業手当を受け取るまでに「待機期間7日+給付制限期間2ヶ月」がかかります。
つまり、退職してから約2ヶ月半〜3ヶ月は失業手当を受け取れません。
一方、会社都合退職とは、会社の倒産や解雇、事業縮小によるリストラなど、会社側の事情で退職を余儀なくされた場合を指します。
会社都合退職の場合は給付制限期間がないため、待機期間7日が経過すればすぐに失業手当の支給が始まります。
また、失業手当をもらえる日数(所定給付日数)も大きく異なります。
自己都合退職の場合は年齢に関係なく90〜150日ですが、会社都合退職の場合は年齢と雇用保険の加入期間に応じて90〜330日と幅広く設定されています。
この差は金額に換算すると数十万円〜100万円以上になることもあります。
なお、自己都合退職であっても、以下のような「やむを得ない理由」がある場合は「特定理由離職者」として認められ、会社都合退職と同等の扱いを受けられる可能性があります。
- 本人の病気やケガにより働けなくなった場合
- 妊娠・出産・育児により退職した場合
- 家族の介護のために退職した場合
- 配偶者の転勤に伴い退職した場合
- 有期雇用契約が更新されなかった場合
- 通勤困難な場所への転勤を命じられた場合
特定理由離職者として認められると、給付制限期間がなくなり、すぐに失業手当を受け取れるようになります。
自分が特定理由離職者に該当するかどうかは、ハローワークで判断されます。
退職理由を証明する書類(医師の診断書、介護認定の通知など)を持参して相談しましょう。
退職理由に関しては、会社から受け取る離職票に記載されます。
実際の退職理由と異なる場合は、ハローワークに異議を申し立てることができます。
自己都合退職として処理されていても、実態は会社都合に近い場合は、諦めずにハローワークに相談してみてください。【雇用保険】退職したらもらえるお金①〜⑤(求職活動中の人向け)
雇用保険に加入していた方が退職後に受け取れる給付金のうち、求職活動中の生活を支えるものが5種類あります。
最も基本的な「失業手当(基本手当)」をはじめ、早期に再就職した場合の「再就職手当」、スキルアップのための「教育訓練給付金」などが含まれます。
これらの給付金は、次の仕事が見つかるまでの経済的な不安を軽減し、安心して転職活動に集中できるように設計されています。
ただし、それぞれに受給条件や申請期限が定められているため、制度の内容をしっかり理解しておくことが大切です。
ここでは、求職活動中の方が受け取れる5つの給付金について、受給条件・金額・申請方法を詳しく解説します。
①失業手当(基本手当)|転職活動中の生活費を支える基本の給付金
失業手当は、退職後に次の仕事を探している人の生活を支える最も基本的な給付金です。
正式名称は「基本手当」といい、雇用保険制度から支給されます。
「働きたいという意思があり、いつでも働ける状態なのに、仕事が見つからない」という失業状態にある方が対象となります。
退職すれば誰でももらえるわけではなく、一定の条件を満たしたうえで、ハローワークに申請する必要があります。
失業手当を受け取るためには、以下の3つの条件をすべて満たす必要があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 雇用保険の加入期間 | 離職日以前の2年間に被保険者期間が通算12ヶ月以上あること(会社都合退職の場合は離職前1年間に6ヶ月以上) |
| 失業状態であること | 働く意思と能力があり、積極的に求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない状態にあること |
| ハローワークへの届出 | ハローワークで求職の申込みを行い、受給資格の決定を受けていること |
1つ目の「雇用保険の加入期間」については、給与明細で雇用保険料が天引きされていれば、加入していることになります。
パートやアルバイトでも、週20時間以上働いていて31日以上の雇用見込みがあれば、雇用保険に加入しているはずです。
2つ目の「失業状態」とは、単に仕事を辞めた状態ではありません。
病気やケガですぐに働けない方、妊娠・出産・育児ですぐに就職できない方、定年後しばらく休養する予定の方などは、失業状態とは認められません。
これらの場合は、失業手当ではなく別の給付金(傷病手当金など)の対象となるか、受給期間の延長手続きを行うことになります。
3つ目の「ハローワークへの届出」は、離職票を持参してハローワークで手続きを行う必要があります。
届出をしなければ、失業手当は1円も支給されません。
②再就職手当|早期に就職するほど多くもらえるボーナス的給付
再就職手当は、失業手当の受給中に早期に再就職が決まった場合に支給される「お祝い金」のような給付金です。
「失業手当をもらい切ってから就職した方がお得」という考えを防ぎ、早期の再就職を促進するために設けられた制度です。
失業手当の支給残日数が多いほど、多くの再就職手当を受け取れる仕組みになっています。
再就職手当を受け取るためには、以下の8つの条件をすべて満たす必要があります。
- 待機期間(7日間)が経過した後に就職したこと
- 就職日の前日までに失業手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること
- 離職前の会社に再び雇用されたものでないこと
- 離職前の会社と密接な関係にある会社に雇用されたものでないこと
- 自己都合退職で給付制限を受けている場合、待機満了後1ヶ月間はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介による就職であること
- 1年を超えて継続して雇用されることが確実であること
- 雇用保険の被保険者となる労働条件で働くこと
- 過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないこと
特に注意が必要なのは、5番目の条件です。
自己都合退職の場合、待機満了後の最初の1ヶ月間は、ハローワークや転職エージェントなどの紹介で就職した場合のみ再就職手当の対象となります。
自分で求人サイトを見つけて応募した場合は、この期間中は再就職手当を受け取れません。
| 支給残日数 | 給付率 | 計算式 |
|---|---|---|
| 所定給付日数の3分の2以上 | 70% | 基本手当日額 × 支給残日数 × 70% |
| 所定給付日数の3分の1以上 | 60% | 基本手当日額 × 支給残日数 × 60% |
早く再就職するほど支給残日数が多くなり、さらに給付率も高くなるため、受け取れる金額が大きくなります。
③就業促進定着手当|再就職後に給与が下がった場合の補填制度
就業促進定着手当は、再就職手当を受け取った人が、再就職先で6ヶ月以上働いた後に申請できる給付金です。
再就職後の賃金が前職よりも低くなった場合に、その差額の一部を補填してくれます。
「やりたい仕事だけど給与が下がる」「未経験の業界にチャレンジしたい」といった場合でも、収入減のダメージを軽減できる制度です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 再就職手当の受給 | 再就職手当を受給していること |
| 継続勤務 | 再就職先で6ヶ月以上継続して雇用保険の被保険者として雇用されていること |
| 賃金の低下 | 再就職後6ヶ月間の賃金日額が、離職前の賃金日額を下回っていること |
再就職手当を受け取っていない人は、就業促進定着手当の対象外となります。
また、6ヶ月間働く前に退職してしまった場合も、受給できません。
申請期限は、再就職した日から6ヶ月経過した日の翌日から2ヶ月以内です。
再就職から約5ヶ月後にハローワークから申請書類が届くので、届いたら早めに手続きを行いましょう。
④教育訓練給付金|資格取得・スキルアップの費用が戻ってくる
教育訓練給付金は、厚生労働大臣が指定する講座を受講・修了した場合に、費用の一部が支給される制度です。
在職中でも退職後でも利用できるため、キャリアアップや転職に向けたスキルアップを目指す人に人気があります。
対象となる講座は、簿記やTOEICなどの資格取得講座から、看護師や介護福祉士などの専門職養成講座まで、幅広く用意されています。
| 種類 | 給付率 | 上限額 | 対象講座の例 |
|---|---|---|---|
| 一般教育訓練給付金 | 受講費用の20% | 10万円 | 簿記、TOEIC、宅建、FP、ITパスポートなど |
| 特定一般教育訓練給付金 | 受講費用の40% | 20万円 | 大型自動車免許、介護職員初任者研修、税理士など |
| 専門実践教育訓練給付金 | 受講費用の最大70% | 年間56万円(最大3年で168万円) | 看護師、社会福祉士、保育士、MBA、AIエンジニアなど |
専門実践教育訓練給付金は、合計すると最大70%、金額にして最大168万円もの支援を受けられます。
申請期限は、講座修了日の翌日から1ヶ月以内です。
期限を過ぎると給付金を受け取れなくなるため、講座が終わったらすぐに手続きを行いましょう。
⑤教育訓練支援給付金|訓練中の生活費を支援する制度
教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練を受講する45歳未満の離職者に対して、訓練期間中の生活費を支援する制度です。
教育訓練給付金(受講費用の補助)とは別に、失業手当に相当する金額が支給されます。
つまり、受講費用と生活費の両方をサポートしてもらいながら、スキルアップに専念できるのです。
在職中の方は対象外となるため、注意が必要です。
教育訓練支援給付金の金額は、基本手当日額の60%相当です。
訓練が終了するまで、2ヶ月ごとに支給されます。
専門実践教育訓練は1〜3年の長期間にわたるものが多いため、この支援給付金があることで、収入がない期間でも安心して学習に集中できます。
申請は、専門実践教育訓練の受講開始日の2週間前までにハローワークで行う必要があります。
【健康保険】退職したらもらえるお金⑩〜⑪(病気・ケガで働けない人向け)
病気やケガが原因で退職した場合、または退職後に体調を崩して働けなくなった場合には、健康保険や雇用保険から給付金を受け取れる可能性があります。
健康保険の「傷病手当金」は、業務外の病気やケガで働けない期間の生活費を補償してくれる制度です。
条件を満たせば、退職後も最長1年6ヶ月にわたって受給を続けることができます。
⑩傷病手当金(健康保険)|業務外の病気・ケガで働けない場合の生活保障
傷病手当金は、健康保険に加入している方が、業務外の病気やケガで働けなくなった場合に支給される給付金です。
会社を休んでいる間の収入を補い、安心して療養に専念できるようにするための制度です。
在職中だけでなく、条件を満たせば退職後も継続して受け取ることができます。
うつ病などの精神疾患で退職する方や、持病の悪化で働けなくなった方にとって、生活を支える重要な制度です。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 業務外の傷病 | 業務外の病気やケガで療養中であること(仕事中や通勤中の傷病は労災保険の対象) |
| 労務不能 | 療養のため、仕事に就くことができない状態であること |
| 連続3日間の待機 | 連続する3日間(待機期間)を含め、4日以上仕事を休んでいること |
| 給与の未支給 | 休んでいる期間に、会社から給与が支払われていないこと |
傷病手当金の金額は、おおよそ給与の3分の2(約67%)が支給されます。
支給期間は、支給開始日から通算して最長1年6ヶ月です。
途中で復職して傷病手当金を受け取らない期間があっても、再び休職した場合は、残りの期間分を受け取ることができます。
⑪傷病手当(雇用保険)|求職活動中に病気・ケガをした場合
傷病手当は、ハローワークで求職の申込みをした後に、病気やケガで働けなくなった場合に支給される給付金です。
健康保険の「傷病手当金」とは名前が似ていますが、全く別の制度です。
雇用保険から支給されるものであり、求職活動中の方が対象となります。
| 項目 | 傷病手当(雇用保険) | 傷病手当金(健康保険) |
|---|---|---|
| 支給元 | 雇用保険(ハローワーク) | 健康保険(健保組合・協会けんぽ) |
| 対象者 | 求職活動中に病気・ケガで働けなくなった人 | 在職中または退職後に業務外の病気・ケガで働けなくなった人 |
| 支給額 | 失業手当(基本手当)と同額 | 標準報酬日額の約3分の2 |
| 支給期間 | 失業手当の所定給付日数の範囲内 | 通算1年6ヶ月 |
| 申請先 | ハローワーク | 健康保険組合または協会けんぽ |
傷病手当(雇用保険)は、失業手当を受給中の方が病気やケガで求職活動ができなくな【雇用保険】退職したらもらえるお金⑥〜⑨(就職活動サポート系)
雇用保険からは、失業手当や再就職手当のほかにも、就職活動をサポートするための給付金が用意されています。
遠方の企業に面接に行く際の交通費を補助する「広域求職活動費」、就職のために引っ越しが必要な場合の「移転費」などがあります。
また、季節労働者向けの「特例一時金」や、65歳以上の方向けの「高年齢求職者給付金」など、特定の状況にある方を支援する制度もあります。
これらの給付金は、該当する方が少ないため知名度は低いですが、条件を満たせばしっかり受け取ることができます。
⑥広域求職活動費|遠方での面接にかかる交通費・宿泊費を支給
広域求職活動費は、ハローワークの紹介で遠方の企業に面接に行った場合に、交通費や宿泊費を支給してもらえる制度です。
UターンやIターン就職を考えている方、地方から都市部への転職を目指している方にとって、経済的な負担を軽減できる心強い制度です。
ただし、自分で求人を見つけて応募した場合は対象外となります。
必ずハローワークを通じて紹介を受ける必要がある点に注意してください。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ハローワークの紹介 | ハローワーク、特定地方公共団体、または職業紹介事業者の紹介であること |
| 距離の要件 | ハローワークから面接先の事業所までの往復距離が200km以上あること |
| 待機期間の経過 | 待機期間(7日間)が経過した後に活動を開始していること |
| 交通費の未支給 | 面接先の企業から交通費が支給されないこと |
宿泊費は、1泊あたり8,700円(一部地域は7,800円)が支給されます。
申請期限は、活動を終了した日の翌日から10日以内です。
期限が短いため、面接から帰ったらすぐに手続きを行いましょう。
⑦移転費|就職に伴う引越し費用を補助
移転費は、ハローワークの紹介で就職が決まり、そのために引越しが必要な場合に支給される給付金です。
交通費だけでなく、引越しにかかる移転料や、新しい土地での生活を始めるための「着後手当」も支給されます。
地方から都市部へ、あるいは都市部から地方へ転居を伴う就職をする場合に、経済的な負担を軽減できます。
| 項目 | 支給内容 |
|---|---|
| 交通費 | 旧居住地から新居住地までの鉄道運賃等(本人と同行する親族の分) |
| 移転料 | 距離と家族人数に応じた定額(引越し費用として) |
| 着後手当 | 親族帯同:76,000円(100km以上は95,000円)、単身:38,000円(100km以上は47,500円) |
着後手当は、新しい土地で生活を始めるための一時金として、引越し後に支給されます。
申請期限は、移転した日の翌日から1ヶ月以内です。
移転先の住所を管轄するハローワークで申請を行います。
⑧特例一時金|季節労働者など短期雇用者が対象の一括給付
特例一時金は、季節的に雇用される方など、短期間の雇用を繰り返す労働者が失業した場合に支給される給付金です。
通常の失業手当は4週間ごとに分割して支給されますが、特例一時金は一括で支給されるのが特徴です。
スキー場やリゾート地、農業など、特定の季節だけ働く方々の生活を支える制度として設けられています。
特例一時金の金額は、基本手当日額の40日分が一括で支給されます。
申請期限は、離職日の翌日から6ヶ月以内です。
通常の失業手当(1年以内)よりも期限が短いため、注意が必要です。
⑨高年齢求職者給付金|65歳以上の離職者が対象の一時金
高年齢求職者給付金は、65歳以上で離職した方が受け取れる一時金です。
65歳未満の方が受け取る失業手当(基本手当)とは異なり、一括で支給されるのが特徴です。
また、老齢年金と同時に受け取ることができるというメリットがあります。
65歳を過ぎても働きたいと考えるシニア層にとって、心強い制度です。
| 被保険者期間 | 支給日数 |
|---|---|
| 1年未満 | 基本手当日額の30日分 |
| 1年以上 | 基本手当日額の50日分 |
通常の失業手当と比べると支給日数は少ないですが、老齢年金と同時に受け取れる点は大きなメリットです。
申請期限は離職日の翌日から1年以内です。
【その他】退職したらもらえるお金⑫と会社から受け取るお金
雇用保険や健康保険からの給付金のほかにも、退職後に受け取れるお金があります。
雇用保険に加入していなかった方でも利用できる「求職者支援制度」、会社独自の制度である「退職金」などについて解説します。
⑫求職者支援制度|雇用保険に入れなかった人のセーフティネット
求職者支援制度は、雇用保険を受給できない方が、無料の職業訓練を受けながら、月10万円の給付金をもらえる制度です。
パートやアルバイトで雇用保険に加入できなかった方、失業手当の受給期間が終了した方、学校を卒業後に就職していない方などが対象となります。
再就職に必要なスキルを身につけながら、生活費の支援も受けられる、心強いセーフティネットです。
| 給付金の種類 | 金額 | 内容 |
|---|---|---|
| 職業訓練受講手当 | 月10万円 | 訓練を受講している期間、毎月支給される |
| 通所手当 | 月最大42,500円 | 訓練施設への交通費(定期券代相当) |
| 寄宿手当 | 月10,700円 | 訓練を受けるために家族と別居して寄宿する場合に支給 |
職業訓練の内容は、パソコンスキル、簿記、介護、医療事務、Webデザイン、プログラミングなど、多岐にわたります。
訓練期間は2〜6ヶ月程度のものが多く、無料で受講できます。
退職金|会社の制度によって支給される一時金・年金
退職金は、会社が独自に設けている制度であり、法律で支払いが義務付けられているものではありません。
そのため、退職金制度がない会社もあれば、勤続年数や役職に応じて数千万円を支給する会社もあります。
自分の会社に退職金制度があるかどうか、いくらもらえるのかは、事前に確認しておくことが大切です。
退職金制度の有無や内容を確認する方法は、就業規則を確認する、人事・総務部門に問い合わせる、労働契約書を確認するなどがあります。
厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、退職金制度がある企業の割合は全体で74.9%です。
企業規模別に見ると、従業員1,000人以上の大企業では90.1%、30〜99人の中小企業では70.1%となっています。退職したらもらえるお金についてよくある質問
Q. 仕事を辞めた後、もらえるお金は合計でいくらですか?
受給できる金額は、年齢・退職前の賃金・勤続年数・退職理由・健康状態によって大きく異なります。
失業手当(基本手当)だけを見ると、月額15〜25万円程度が90〜330日分支給されるのが一般的な目安です。
たとえば月額20万円を120日分受給する場合、総額は約80万円になります。
これに退職金が加わると、勤続年数や企業規模に応じて数十万円から数千万円の幅があります。
さらに、退職前後に病気やケガで働けない状態にあれば、傷病手当金として給与の約3分の2が最長1年6ヶ月支給されます。
ご自身がどの給付金の対象になるかは、ハローワークや健康保険組合に相談することで確認できます。
Q. 退職したら200万円もらえる制度はありますか?
「退職給付金200万円」という名称の単一制度は存在しません。
インターネット広告などで見かける「200万円」という金額は、傷病手当金・失業手当・再就職手当など複数の制度を最大限に組み合わせた場合の試算です。
ただし、これはあくまで「すべての条件を満たした場合の上限」であり、全員が対象になるわけではありません。
「絶対にもらえる」「確実に受給できる」と断言するサービスには注意が必要です。
ご自身が対象になるかどうかは、ハローワークや健康保険組合で無料で確認できます。
Q. 退職したら国からもらえるお金は?
国や公的機関から受け取れる主な給付金は以下の通りです。
雇用保険から支給されるものとして、失業手当(基本手当)、再就職手当、就業促進定着手当、教育訓練給付金、教育訓練支援給付金、広域求職活動費、移転費、特例一時金、高年齢求職者給付金があります。
これらはハローワークで申請します。
健康保険から支給されるものとして、傷病手当金があります。
業務外の病気やケガで働けなくなった場合に、加入している健康保険組合または協会けんぽに申請します。
一方、退職金は会社独自の制度であり、法律で支給が義務付けられているものではありません。
Q. 手取り20万円で失業手当はいくらもらえますか?
手取り20万円の場合、社会保険料や税金を考慮すると額面月収は約24〜25万円程度と推定されます。
この場合の失業手当の目安は次のようになります。
基本手当日額は約5,500〜6,000円程度、1ヶ月分(28日)に換算すると約15〜17万円です。
自己都合退職で給付日数90日の場合、総額は約50〜54万円が目安です。
ただし、年齢や退職理由によって給付率や給付日数は変わります。
正確な金額はハローワークで受給資格決定時に計算されます。
Q. パート・アルバイトでも退職後に給付金はもらえますか?
雇用保険に加入していれば、パートやアルバイトでも失業手当を受給できます。
雇用保険の加入条件は「週20時間以上の所定労働時間があること」と「31日以上の雇用見込みがあること」の2つです。
この条件を満たしていれば、雇用形態に関係なく事業主は雇用保険に加入させる義務があります。
ご自身が加入しているかどうかは、給与明細を確認してください。
「雇用保険料」の控除があれば加入しています。
なお、雇用保険に加入していなかった方でも、求職者支援制度を利用すれば職業訓練を受けながら月10万円の給付を受けられる可能性があります。
Q. 退職給付金はどうやってもらえばいいですか?
給付金の種類によって申請先が異なります。
ハローワークで申請するものは、失業手当、再就職手当、就業促進定着手当、教育訓練給付金などです。
退職後、離職票を持参してハローワークで求職申込みを行うことが最初のステップになります。
健康保険組合または協会けんぽに申請するものは、傷病手当金です。
申請書には本人記入欄のほか、会社と医師の記入欄があるため、在職中から準備を進めておくとスムーズです。
まずはハローワークで失業手当の手続きを行い、担当者に相談しながら他の給付金の対象になるかどうかを確認していくのが効率的です。
Q. 退職給付金に税金はかかりますか?
失業手当、傷病手当金、再就職手当、教育訓練給付金などの公的給付金は非課税です。
所得税も住民税もかからず、確定申告で申告する必要もありません。
一方、退職金は課税対象ですが、「退職所得控除」という優遇制度があるため、税負担は大幅に軽減されます。
たとえば勤続25年なら1,150万円まで非課税となり、それを超えた分も2分の1だけが課税対象になります。
退職金を受け取る際に「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出すれば、適切な税額が源泉徴収され、通常は確定申告も不要です。
Q. 失業手当と傷病手当金は同時にもらえますか?
失業手当と傷病手当金を同時に受給することはできません。
両者は目的が異なるためです。
失業手当は「働く意思と能力があり、求職活動中である」ことが条件で、傷病手当金は「病気やケガで働けない状態にある」ことが条件です。
ただし、順番に受給することは可能です。
退職前後に病気やケガで働けない場合は、まず傷病手当金を受給し、回復して求職活動ができる状態になってから失業手当を申請するという流れが一般的です。
失業手当の受給期間(原則1年間)は、傷病などで求職活動ができない場合、最長4年まで延長できます。
Q. 離職票が届かない場合はどうすればいいですか?
離職票は通常、退職後10日〜2週間程度で届きます。
2週間以上経っても届かない場合は、まず会社に発行状況を確認してください。
会社が発行手続きを怠っている場合や、発行を拒否している場合は、ハローワークに相談しましょう。
ハローワークから会社に対して発行を促す連絡を入れてもらえます。
なお、離職票が届くのを待っている間も、退職日の翌日から失業手当の受給期間(原則1年間)はカウントされています。
届かない場合は早めに対処することが大切です。
Q. 自己都合退職でも給付制限なしで失業手当をもらえる場合はありますか?
以下のような「特定理由離職者」に該当する場合、自己都合退職でも給付制限なしで失業手当を受給できます。
- 病気やケガで働けなくなった場合
- 妊娠・出産・育児により離職した場合
- 家族の介護が必要になった場合
- 配偶者の転勤に伴い通勤が困難になった場合
- 有期雇用契約が更新されなかった場合(本人は更新を希望していた場合)
該当するかどうかの判断はハローワークが行います。
退職理由を証明する書類(診断書、介護認定証、契約書など)を用意して相談してください。

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