就業促進定着手当がもらえない場合の原因と対処法|支給額シミュレーションや申請期限切れの対応も解説

就業促進定着手当は、再就職後に給与が下がった方を支援する制度ですが、条件を満たしていないと支給されません。

しかし、もらえなかった原因を特定すれば、再申請や他の支援制度の活用で状況を改善できる可能性があります。

この記事でわかること
  • 就業促進定着手当がもらえない7つの原因と具体的な対処法
  • 支給額の計算方法とシミュレーション例
  • 申請期限を過ぎた場合の「2年時効ルール」の活用方法
  • 受給後に退職した場合の返還義務について
  • 就業促進定着手当以外に活用できる給付金制度
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目次

就業促進定着手当がもらえない7つの原因【不支給通知が届いた方必見】

就業促進定着手当の申請をしても、条件を満たしていなければ支給されません。

不支給通知が届いた方は、まず原因を特定することが重要です。

ここでは、就業促進定着手当がもらえない代表的な7つの原因を詳しく解説します。

再就職手当を受給していない

就業促進定着手当を受け取るための大前提は、再就職手当を受給していることです。

再就職手当とは、失業保険(基本手当)の受給資格がある方が早期に再就職した場合に支給される手当です。

つまり、就業促進定着手当は再就職手当の「延長線上」にある制度なのです。

再就職手当を受給していない場合、就業促進定着手当の申請自体ができません。

再就職手当が支給されない主なケース
ケース詳細
待期期間中の就職ハローワークへの求職申込みから7日間は待期期間となり、この間の就職は対象外
給付制限期間最初の1ヶ月以内にハローワーク以外で就職自己都合退職の場合、待期期間満了後1ヶ月間はハローワークまたは職業紹介事業者経由の就職が条件
基本手当の残日数が3分の1未満所定給付日数の3分の1以上残っていることが必要
1年以上の雇用見込みがない短期契約や更新なしの場合は対象外となる可能性あり

再就職手当の支給決定通知書が届いた際に、就業促進定着手当の支給申請書も同封されています。

この書類を紛失してしまった場合は、ハローワークインターネットサービスからダウンロードすることも可能です。

再就職先で6ヶ月以上継続して勤務していない

就業促進定着手当の名前にある「定着」という言葉が示すように、この制度は再就職先での定着を促進する目的で設けられています。

そのため、再就職先で6ヶ月以上継続して雇用保険の被保険者として勤務していることが必須条件となります。

6ヶ月未満で退職してしまった場合は、自己都合・会社都合を問わず支給対象外となります。

試用期間中に退職した場合は当然ながら支給対象外です。

また、契約更新時に空白期間が生じた場合も注意が必要です。

例えば、3ヶ月契約で一度契約が終了し、1週間後に再契約した場合、その空白期間で雇用保険の被保険者資格を喪失していると、6ヶ月の継続勤務とは認められない可能性があります。

病気やケガで休職した期間については、雇用保険の被保険者資格が継続していれば、6ヶ月間の勤務期間にカウントされます。

ただし、休職中に雇用保険から脱退した場合は対象外となります。

事業主の都合による出向であっても、出向元で雇用保険の被保険者資格が喪失された場合は支給対象外となる点に注意してください。

再就職後の賃金が前職より下がっていない

就業促進定着手当は、転職による賃金低下を補填する目的で支給される制度です。

そのため、再就職後6ヶ月間の賃金日額が離職前の賃金日額を下回っていなければ、支給されません。

ここで重要なのは、比較対象が「月収の総額」ではなく「賃金日額(1日あたりの賃金)」である点です。

賃金日額の計算方法
賃金形態計算式
月給制再就職後6ヶ月間の賃金合計額÷180日
日給・時給制①6ヶ月間の賃金合計額÷180日 または ②(6ヶ月間の賃金合計額÷実際の勤務日数)×70% のいずれか高い方

「基本給は下がったが、残業代や各種手当を含めると総額では上がっている」というケースがあります。

賃金には、税金や社会保険料を控除する前の総支給額(基本給+残業代+通勤手当など)が含まれます。

ただし、3ヶ月を超える期間ごとに支払われる賞与は計算に含みません。

離職前はフルタイムで働いていた方が、再就職後にパートやアルバイトになった場合、給料の総額は減っていても、「賃金日額」では減っていないケースがあります。

これは、勤務日数が減った分、1日あたりの賃金では下がっていないと判定されるためです。

気になる方は、半年間の賃金総額ではなく、賃金日額を計算して確認してみましょう。

申請期限(2ヶ月以内)を過ぎている

就業促進定着手当の申請期限は、再就職日から6ヶ月経過後の翌日から2ヶ月以内です。

この期間は比較的短いため、「うっかり忘れていた」というケースが少なくありません。

4月1日に再就職した場合、6ヶ月後の10月1日の翌日である10月2日から12月1日までが申請期間となります。

ただし、就職日が賃金締切日の翌日ではない場合は計算が異なります。

例えば、賃金締切日が月末で就職日が4月15日の場合、5月1日から6ヶ月後の10月31日の翌日から申請期間がスタートします。

Yahoo!知恵袋などでも「申請期限を過ぎてしまった」という相談が多く見られます。

原則として「期限を忘れていた」という理由は認められません。

ただし、後述する「2年の時効」ルールを活用すれば、申請期限を過ぎても受給できる可能性があります。

  • スマホのカレンダーにリマインダーを設定する
  • 再就職日から5ヶ月目には書類準備を開始する
  • 期限ギリギリでも「仮申請」で対応可能な場合がある

雇用保険の被保険者として雇用されていない

就業促進定着手当を受給するには、再就職先で雇用保険の被保険者として雇用されていることが必要です。

雇用保険に加入していない働き方をしている場合は、支給対象外となります。

雇用保険に加入できない働き方
働き方理由
週20時間未満のパート・アルバイト雇用保険の加入要件を満たさない
業務委託・フリーランス雇用契約ではなく業務委託契約
個人事業主として起業雇用関係にないため対象外
31日未満の短期雇用雇用保険の加入要件を満たさない

自分が雇用保険に加入しているかどうかは、給与明細の控除欄を確認すれば分かります。

「雇用保険料」が差し引かれていれば、加入していることになります。

また、ハローワークの窓口でも確認することができます。

独立起業によって再就職手当を受給した場合、自分が立ち上げた会社の代表になっているため雇用関係にありません。

そのため、6ヶ月以上事業を継続しても、就業促進定着手当を受け取ることはできません。

書類の不備や記載ミスがある

就業促進定着手当の申請には複数の書類が必要で、書類の不備や記載ミスがあると申請が通らないことがあります。

特に、事業主(再就職先の会社)に記入してもらう箇所でのミスが多く見られます。

申請に必要な書類一覧
書類名備考
就業促進定着手当支給申請書事業主の証明欄あり
雇用保険受給資格者証紛失時はハローワークで再発行可能
就職日から6ヶ月間の出勤簿の写し事業主から原本証明を受けたもの
就職日から6ヶ月間の給与明細または賃金台帳の写し事業主から原本証明を受けたもの

よくある不備パターンとして、事業主の証明欄の押印漏れ、賃金の記載ミス(控除後の金額を記載してしまう)、出勤簿と給与明細の期間が一致していない、原本証明が押されていないなどがあります。

書類の準備には時間がかかるため、6ヶ月経過前から早めに準備を始めることをおすすめします。

会社への依頼は気まずく感じるかもしれませんが、条件を満たしている人が手当を申請するのは当然の権利です。

会社がお金を出すわけではないので、遠慮せず依頼しましょう。

前職と同一または関連会社への再就職

再就職先が前職と同じ会社、または密接な関係にある会社の場合、再就職手当および就業促進定着手当の支給対象外となります。

これは、計画的な退職と再就職による不正受給を防ぐための規定です。

対象外となる関連会社の例
関係性詳細
同一会社への再雇用退職後に同じ会社に戻った場合
資本関係のある会社親会社・子会社・グループ会社など
人的交流のある会社役員や社員の出向関係がある
取引関係の密接な会社年間売上の50%以上を両社間で取引している

派遣社員の場合、雇用契約の相手は派遣先ではなく派遣元(派遣会社)です。

そのため、派遣先が変わっても派遣元が同じ会社であれば、「同一事業主への再雇用」とみなされ、原則として再就職手当の支給対象外となります。

偶然にも関連会社だった場合でも、退職前から再就職が内々に決まっていた可能性を排除できないため、同じ扱いとなります。

再就職手当を申請する際には、前職との関連がないことの証明が求められます。

就業促進定着手当がもらえない場合の5つの対処法

就業促進定着手当がもらえなかった場合でも、諦めるのはまだ早いかもしれません。

原因によっては、適切な対処をすることで受給できる可能性があります。

ここでは、もらえないときに試すべき5つの対処法を紹介します。

ハローワークに不支給理由を確認する

まず最初にすべきことは、ハローワークに不支給理由を確認することです。

不支給通知書が届いた場合は、その通知書を持参してハローワークの窓口で詳細を確認しましょう。

確認すべきポイントは、どの要件を満たしていないのか、そして再申請は可能かどうかの2点です。

ハローワークの職員は制度や手続きに関する専門的な知識を持っており、条件を満たすための方法や追加で必要な書類についても詳しく説明してくれます。

電話での問い合わせも可能です。

管轄ハローワークの「雇用保険給付課」に連絡しましょう。

再申請の可否や他の支援制度との併用についても相談できるため、単独で判断するよりもスムーズに解決策を見出せる可能性があります。

書類の不備を修正して再提出する

申請書類の不備や記載ミスが原因で不支給となった場合は、修正した書類を再提出することで受給できる可能性があります。

修正可能なケースとしては、事業主の証明欄の記載漏れ、押印漏れ、添付書類の不足、計算ミスなどがあります。

一方で、条件自体を満たしていない(6ヶ月未満の勤務など)、再就職手当を受給していない、申請期限を大幅に過ぎている場合は修正が難しいケースとなります。

再提出時は修正した箇所を明示し、どこをどのように修正したかが分かるようにしましょう。

事業主への再発行依頼が必要な場合は、「申請に不備があったため再度お願いしたい」と正直に伝えれば問題ありません。

書類の修正・再提出に必要な時間を考慮して、できるだけ早めに行動することが大切です。

申請期限切れは「やむを得ない理由」を申し立てる

申請期限(2ヶ月以内)を過ぎてしまった場合でも、2年の時効期間内であれば申請できる可能性があります。

厚生労働省のWebサイトには、再就職手当が支給される就職日の翌日から起算し6ヶ月を超えて雇用された日の翌日から起算して2年を経過する日までが時効期間と記載されています。

つまり、再就職から6ヶ月経過後の翌日から数えて2年間は、時効が成立していないため申請が可能なのです。

「やむを得ない理由」として認められる具体例
理由必要な証明書類
入院していた診断書・入院証明書
災害に遭った罹災証明書
海外出張・転勤中だった出張命令書・渡航証明
その他特別な事情状況を説明できる書類

ただし、「忘れていた」「忙しかった」という理由は原則として認められません。

申請期限を過ぎてから時間が経つほど、会社側が書類を準備するのに手間取る可能性が高くなります。

気付いた時点で速やかに行動しましょう。

賃金計算を再確認・再計算する

「賃金が下がっていない」と判定されて不支給になった場合、賃金日額の計算を再確認してみましょう。

計算方法を誤っていたり、含めるべき手当が漏れていたりする可能性があります。

離職前の賃金日額は、雇用保険受給資格者証の「14.離職時賃金日額」の欄に記載されています。

再就職後の賃金日額は、月給制の場合は「6ヶ月間の賃金合計額÷180日」で算出します。

賃金に含まれるもの・含まれないもの
含まれる含まれない
基本給賞与(3ヶ月を超える期間ごとに支払われるもの)
残業代退職金
通勤手当結婚祝い金など臨時の支払い
住宅手当
皆勤手当
役職手当

離職前の賃金日額には、年齢に応じた上限額が設けられています。

賃金日額の上限額(2024年8月現在)
離職時の年齢上限額
30歳未満13,890円
30歳以上45歳未満15,430円
45歳以上60歳未満16,980円
60歳以上65歳未満16,210円

下限額は全年齢共通で2,869円です。

再就職後の賃金日額がこの上限を超えている場合、上限額として計算されます。

その結果、「差額がない」と判定されて不支給となるケースがあります。

計算に自信がない場合は、ハローワークの窓口で確認してもらいましょう。

雇用契約の見直しを会社に相談する

就業促進定着手当の支給条件を満たしていない場合、雇用契約を見直すことで条件をクリアできる可能性があります。

特に、雇用保険の加入要件を満たしていない場合は、会社との交渉次第で解決できることがあります。

交渉できるポイント
現状交渉内容
週20時間未満のシフト週20時間以上のシフト確保を依頼
31日未満の短期契約31日以上の契約への変更を相談
有期契約無期契約または更新ありへの変更

ただし、すでに6ヶ月が経過してしまった後では、遡って条件を満たすことはできません。

再就職直後の段階で、自分が雇用保険に加入しているかどうかを確認しておくことが重要です。

給与明細の控除欄に「雇用保険料」が記載されていれば、加入していることになります。

就業促進定着手当はいくらもらえた?計算シミュレーションと実例

就業促進定着手当の支給額は、離職前と再就職後の賃金差額をもとに計算されます。

ただし、上限額が設定されているため、「思ったより少なかった」という声も多いのが実情です。

ここでは、計算方法と具体的なシミュレーション例を紹介します。

就業促進定着手当の計算式と上限額

就業促進定着手当の支給額は、以下の計算式で算出されます。

基本計算式:(離職前の賃金日額 − 再就職後の賃金日額)× 再就職後6ヶ月間の賃金支払基礎日数

賃金支払基礎日数とは、月給制の場合は暦日数(30日や31日)、日給・時給制の場合は実際の勤務日数を指します。

就業促進定着手当には上限額があり、以下の計算式で求められます。

上限額の計算式:基本手当日額 × 支給残日数 × 40%(または30%)

再就職手当の給付率が70%の方は30%で、60%の方は40%で計算します。

2025年4月以降に再就職手当を受けた方は、一律20%に変更されています。

基本手当日額の上限額(2024年8月現在)
離職時の年齢上限額
60歳未満6,290円
60歳以上65歳未満5,085円

最終的な支給額は、基本計算式で算出した金額と上限額を比較し、低い方が適用されます。

【ケース別】いくらもらえたか具体例で紹介

実際にどのくらいの金額がもらえるのか、具体例で見てみましょう。

ケース①:正社員→正社員(事務職)で約15万円支給された例

  • 離職前の月給:27万円(賃金日額9,000円)
  • 再就職後の月給:25万円(賃金日額8,333円)
  • 支給残日数:60日
  • 基本手当日額:5,699円
  • 再就職手当の給付率:60%

差額計算:(9,000円−8,333円)×180日=120,060円

上限額計算:5,699円×60日×40%=136,776円

120,060円<136,776円なので、支給額は120,060円

ケース②:正社員→パート(販売職)で約8万円支給された例

  • 離職前の月給:25万円(賃金日額8,333円)
  • 再就職後の時給:1,100円(月15日勤務×6時間)
  • 賃金日額:99,000円×6ヶ月÷180日=3,300円
  • 支給残日数:45日
  • 基本手当日額:4,500円
  • 再就職手当の給付率:70%

差額計算:(8,333円−3,300円)×90日(実勤務日数)=452,970円

上限額計算:4,500円×45日×30%=60,750円

上限額の方が低いため、支給額は60,750円

ケース③:上限額に達して満額支給されなかった例

  • 離職前の月給:35万円
  • 再就職後の月給:20万円
  • 支給残日数:30日
  • 基本手当日額:6,290円

差額計算では50万円以上になりますが、上限額は37,740円(6,290円×30日×20%)となります。

このように、差額が大きくても上限額で頭打ちになるケースが多いのです。

自分でできる支給額シミュレーションの手順

自分で支給額を計算するには、以下の手順で進めましょう。

Step1:雇用保険受給資格者証から数値を確認

  • 14欄「離職時賃金日額」
  • 19欄「基本手当日額」
  • 裏面「支給残日数」

Step2:再就職後の賃金日額を計算

月給制の場合は、6ヶ月間の総支給額(控除前)を合計し、180で割ります。

例:月給25万円×6ヶ月÷180日=8,333円

Step3:差額と上限額を比較

差額計算と上限額計算をそれぞれ行い、低い方が支給額となります。

計算が複雑で自信がない場合は、ハローワークの窓口で相談すれば、詳しく教えてもらえます。

就業促進定着手当をもらって退職したらどうなる?返還義務とその後の影響

「就業促進定着手当をもらった後に退職したら、返還しなければならないのでは?」

このような不安を持つ方も多いでしょう。

ここでは、受給後の退職に関するルールと注意点を解説します。

6ヶ月経過後に退職しても返還義務はない

結論から言うと、就業促進定着手当を受給した後に退職しても、返還義務はありません。

これは、支給条件である「6ヶ月以上の勤務」を満たした上で受給しているためです。

手当をもらったからといって、その会社にずっといなければならないというルールはないのです。

受給後に退職した場合のポイント
項目内容
返還義務なし(不正受給を除く)
再度の失業保険受給条件を満たせば可能
給付制限自己都合退職の場合は通常のルールが適用される

厚生労働省の資料にも、就業促進定着手当の支給後に、離職し失業状態になった場合は、再就職手当と就業促進定着手当を除く残日数分の基本手当を受給できる場合があると記載されています。

また、12ヶ月以上(会社都合の場合は6ヶ月以上)働いた後は、新たに雇用保険の受給資格が生じます。

虚偽申請が発覚した場合は「3倍返し」のペナルティ

一方で、虚偽の申請で不正受給した場合は話が変わります。

不正受給と認められた場合、受給した金額の返還に加え、その2倍の金額を納付しなければなりません。

つまり、合計で受給額の3倍を返還することになります。

不正受給とみなされるケースとして、実際には6ヶ月勤務していないのに勤務したと偽った、賃金額を実際より低く申告した、出勤簿や給与明細を偽造した、雇用保険に加入していないのに加入していると偽ったなどがあります。

悪質な場合は、詐欺罪として刑事罰の対象になる可能性もあります。

手当が欲しいからといって、嘘の申告をすることは絶対にやめましょう。

正直に申請して、もらえないならもらえないで仕方がないと割り切ることが大切です。

前職より給与が高くなった場合の注意点

「申請時点では賃金が下がっていたが、途中で昇給して前職より高くなった」

このような場合でも、すでに支給された手当を返還する必要はありません。

就業促進定着手当の判定基準は、あくまで申請時点の6ヶ月間の賃金です。

支給後に賃金条件が変わっても、返還を求められることはありません。

ただし、申請段階で、すでに昇給が決まっていることを隠して申請した場合は、不正受給とみなされる可能性があります。

例えば、「6ヶ月目から昇給することが決まっているが、最初の5ヶ月間の低い賃金で計算して申請する」といったケースです。

申請は誠実に行い、不正が疑われるような行為は避けましょう。

就業促進定着手当のデメリットと申請前に知っておくべき注意点

就業促進定着手当は転職後の収入減を補填してくれるありがたい制度ですが、知っておくべき注意点もあります。

ここでは、申請前に理解しておきたいデメリットと注意点を解説します。

そもそも受給できる金額には上限がある

就業促進定着手当の最大のデメリットは、支給額に上限があることです。

「前職と再就職先の賃金差が大きいほど多くもらえる」と思いがちですが、実際はそうではありません。

上限額は「基本手当日額×支給残日数×40%(または30%、20%)」で計算されます。

例えば、基本手当日額が5,000円、支給残日数が50日、給付率が40%の場合、上限額は10万円です。

賃金差額で30万円の計算になっても、実際に受給できるのは10万円だけなのです。

再就職手当の給付率による違い
再就職手当の給付率就業促進定着手当の上限計算に使う率
70%30%
60%40%
2025年4月以降一律20%

早期に再就職するほど再就職手当の給付率は高くなりますが、その分、就業促進定着手当の上限は低くなる仕組みです。

上限額の仕組みを理解した上で、期待しすぎないようにしましょう。

申請手続きに手間と時間がかかる

就業促進定着手当の申請には、複数の書類を揃える必要があり、手間と時間がかかります。

申請手続きの流れは、再就職から6ヶ月経過するまで待つ、会社に申請書の証明欄記入を依頼する、出勤簿・給与明細の写しを準備する、ハローワークに書類を提出する、審査(約1ヶ月)を経て支給決定、指定口座に振込となります。

特に、事業主の協力が不可欠という点がハードルになりがちです。

「入社して半年しか経っていないのに、こんなお願いをしていいのか」と躊躇する方も多いでしょう。

しかし、条件を満たしている人が手当を申請するのは当然の権利です。

会社がお金を出すわけではないので、遠慮なく依頼しましょう。

審査期間は通常1ヶ月程度ですが、年度末や繁忙期にはさらに時間がかかることがあります。

2ヶ月を過ぎたら原則受給不可という厳しい期限

就業促進定着手当の申請期限は、再就職日から6ヶ月経過後の翌日から2ヶ月以内です。

この期限は比較的短く、うっかり忘れてしまうリスクがあります。

新しい職場での仕事に慣れることに精一杯で、気がつくと申請期限が過ぎていた…というケースは少なくありません。

特に、書類の準備には会社への依頼も含まれるため、時間に余裕を持って動く必要があります。

  • 再就職日をカレンダーに記録し、5ヶ月後にリマインダーを設定する
  • 再就職手当の支給決定通知書と一緒に届く申請書を大切に保管する
  • 6ヶ月経過前から書類準備を始める

書類が完全に揃っていない場合でも、期限内に「仮申請」として提出すれば、後から書類を追加することが可能な場合があります。

詳しくはハローワークに確認しましょう。

就業促進定着手当以外に活用できる支援制度

就業促進定着手当がもらえない場合でも、他に活用できる支援制度があるかもしれません。

ここでは、再就職時に検討したい主な支援制度を紹介します。

再就職手当

再就職手当は、失業保険の受給中に早期に再就職した場合に支給される手当です。

支給額の計算式は、基本手当日額 × 支給残日数 × 給付率(60%または70%)です。

支給残日数が所定給付日数の3分の2以上残っている場合は70%、3分の1以上残っている場合は60%の給付率が適用されます。

再就職手当と就業促進定着手当の関係
手当タイミング目的
再就職手当再就職時早期再就職の促進
就業促進定着手当再就職から6ヶ月後再就職先への定着促進

この2つは併用が可能です。再就職手当を受給していれば、就業促進定着手当の申請資格があります。

早期再就職のメリットは、失業期間が短くなることに加え、再就職手当という「お祝い金」がもらえることです。

就業手当

就業手当は、再就職手当の対象にならない短期就業向けの制度です。

臨時・日雇いのような形態で働く場合に支給されます。

支給額の計算式は、基本手当日額の30% × 就業日数です。

支給要件として、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上あること、待期期間満了後の就業であること、離職前の事業主に再雇用されていないことが挙げられます。

就業手当は2025年4月に廃止が予定されています。

今後は、短期就業であっても再就職手当の対象となるよう制度が変更される見込みです。

再就職手当との使い分けとしては、1年以上の雇用見込みがない短期の仕事に就く場合に就業手当を検討することになります。

常用就職支度手当

常用就職支度手当は、就職が困難な方を支援する制度です。

障害のある方や45歳以上の中高年などが対象となります。

支給額の計算式は、基本手当日額 × 90日分(上限) × 40%です。

対象者
対象者条件
障害のある方身体障害者、知的障害者、精神障害者など
45歳以上の方就職困難者として認定された場合
その他社会的事情により就職が困難と認められた方

この手当は、再就職手当の支給対象とならない方でも、安定した職業に就いた場合に支給されます。

就職困難者向けの支援制度として、ハローワークで相談してみましょう。

求職者支援制度(職業訓練受講給付金)

求職者支援制度は、雇用保険の受給資格がない方向けの支援制度です。

月額10万円の給付金を受けながら、無料で職業訓練を受講できます。

対象者は、雇用保険に加入していなかった方、雇用保険の受給期間が終了した方、学校卒業後に就職していない方、自営業を廃業した方です。

給付金の支給要件
要件内容
本人収入月8万円以下
世帯収入月30万円以下(令和7年4月以降は月40万円以下)
世帯金融資産300万円以下
出席率訓練の8割以上出席

職業訓練を受講することで、再就職に必要なスキルを身につけながら、生活費の支援も受けられます。

自治体独自の就労支援制度もありますので、お住まいの地域のハローワークや市区町村窓口で確認してみましょう。

退職後に最大200万円もらえる可能性がある給付金制度

退職後に活用できる給付金制度を組み合わせると、最大で200万円以上を受け取れる可能性があります。

傷病手当金と失業保険の組み合わせ
給付金受給期間概要
傷病手当金最大18ヶ月病気やケガで働けない期間の生活保障
失業保険最大10ヶ月求職活動中の生活保障

傷病手当金は健康保険から支給され、失業保険は雇用保険から支給されます。

条件を満たせば、最大28ヶ月間にわたって給付金を受け取れるケースもあります。

これらの給付金制度は複雑で、自分だけで手続きを進めるのは難しいと感じる方も多いでしょう。

専門のサポートサービスを利用することで、受給できる可能性を最大限に高められます。

退職後のお金に不安がある方は、まずは無料相談を利用してみることをおすすめします。

就業促進定着手当に関するよくある質問

Q. 就業促進定着手当が支給されない理由は何ですか?

就業促進定着手当が支給されない主な理由は以下のとおりです。

  • 再就職手当を受給していない
  • 再就職先で6ヶ月以上勤務していない
  • 再就職後の賃金日額が前職を下回っていない
  • 申請期限(2ヶ月以内)を過ぎている
  • 雇用保険の被保険者として雇用されていない
  • 書類の不備や記載ミスがある
  • 前職と同一または関連会社への再就職である

不支給通知が届いた場合は、ハローワークで詳しい理由を確認しましょう。

原因によっては、書類の修正や再申請で受給できる可能性があります。

Q. 退職したら200万円もらえる制度とはどんな制度ですか?

これは、傷病手当金と失業保険を組み合わせた社会保険給付金の最大受給額を指しています。

傷病手当金は、病気やケガで働けない期間に健康保険から支給される給付金で、最大18ヶ月間受け取れます。

失業保険は、求職活動中に雇用保険から支給される給付金で、条件によっては最大10ヶ月間受け取れます。

条件を満たせば最大28ヶ月間受給することが可能で、その総額が200万円を超えるケースがあるのです。

ただし、すべての人が対象になるわけではありません。

専門のサポートサービスを利用すると、自分がどの程度の給付金を受け取れるか、正確にシミュレーションしてもらえます。

Q. 就業促進定着手当の対象者はどんな人ですか?

就業促進定着手当の対象者は、以下の3つの条件すべてを満たす方です。

対象者の条件
条件詳細
再就職手当を受給した就業促進定着手当の大前提
6ヶ月以上継続勤務同じ事業主のもとで雇用保険被保険者として勤務
賃金が下がった再就職後6ヶ月間の賃金日額が離職前を下回っている

パートやアルバイト、派遣社員でも、雇用保険に加入していれば対象となります。

ただし、独立起業によって再就職手当を受給した場合は、雇用関係にないため対象外です。

Q. 再就職手当がもらえない例にはどんなケースがありますか?

再就職手当がもらえないケースは複数あります。

主なケース一覧
ケース理由
待期期間中の就職7日間の待期期間が満了していない
給付制限期間最初の1ヶ月以内にハローワーク以外で就職自己都合退職の場合の制限
基本手当の残日数が3分の1未満支給残日数の要件を満たさない
離職前の会社への再雇用同一事業主への再就職は対象外
関連会社への就職資本・人事・取引面で密接な関係がある会社も対象外
1年以上の雇用見込みがない短期契約は対象外
過去3年以内に再就職手当を受給短期間での繰り返し受給は不可

再就職手当がもらえないと、就業促進定着手当も受給できません。

事前に条件を確認しておくことが重要です。

Q. 失業保険は2社で合算できますか?

転職の間隔が1年未満であれば、雇用保険の加入期間を合算できます。

これは「被保険者期間の通算」と呼ばれる仕組みです。

合算できる条件として、前職と現職の間に、雇用保険に加入していない期間(空白期間)が1年未満である、空白期間中に失業保険(基本手当)を受給していないことが挙げられます。

合算できないケース
ケース理由
空白期間が1年以上通算の要件を満たさない
失業保険を受給した受給時点で加入期間がリセットされる
再就職手当を受給した支給残日数に応じた日数分が消化される

失業保険を一度受給すると、それまでの加入期間はリセットされます。

新たな失業保険の受給資格を得るには、改めて12ヶ月以上(会社都合の場合は6ヶ月以上)の被保険者期間が必要です。

複数社での勤務経験がある方は、加入期間の通算について、ハローワークで確認することをおすすめします。

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