「ダブルワークをしていても失業保険は受け取れるの?」「片方の仕事を辞めたら、もう一方を続けながら受給できる?」
このような疑問を持っている方は多いのではないでしょうか。
結論として、ダブルワークをしていても条件を満たせば失業保険の受給は可能です。
ただし、待機期間中の働き方や受給中の労働時間など、守るべきルールがあります。
本記事では、ダブルワークで失業保険を受け取るための条件や受給金額の計算方法、手続きの流れから注意点までわかりやすく解説します。
ダブルワーク中でも失業保険を受給することは可能?
ダブルワークをしている方でも、雇用保険に加入していた職場を離職すれば失業保険の受給資格が発生します。
ただし、雇用保険の被保険者になれるのは原則として1社のみという点を理解しておく必要があります。
厚生労働省の定める雇用保険の加入条件は「1週間の所定労働時間が20時間以上」かつ「31日以上の雇用が見込まれること」です。
複数の職場で働いている場合、収入が多い方または労働時間が長い方の職場で雇用保険に加入する仕組みになっています。
そのため、主たる職場(雇用保険に加入している職場)を退職した場合には、もう一方の仕事を続けながらでも失業保険を受給できる可能性があるのです。
ただし、副業先だけが残っている場合には「主たる職場を失った」とは見なされないため、失業給付の対象にはなりません。
| 状況 | 失業保険の受給可否 |
|---|---|
| 雇用保険加入先(主たる職場)を退職 | 受給可能 |
| 副業先のみ退職(主たる職場は継続) | 受給不可 |
| 両方とも週20時間未満で雇用保険未加入 | 受給不可 |
失業保険を受給するには「失業の状態」にあることが前提条件となります。
厚生労働省は失業の状態について「就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、職業に就くことができない状態」と定義しています。
参考:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
ダブルワークで失業保険を受け取るために満たすべき3つの条件
ダブルワークをしながら失業保険を受給するには、いくつかの条件をクリアする必要があります。
これらの条件を満たさないと、受給開始が遅れたり、最悪の場合は受給資格を失ってしまうこともあります。
ここでは、必ず押さえておくべき3つの条件について詳しく解説します。
待機期間の7日間はもう一方の仕事も含め就労しない
ハローワークで失業保険の手続きをすると、最初に7日間の「待機期間」が設けられます。
この期間は、あなたが本当に失業状態にあるかどうかを確認するための大切な期間です。
待機期間中は、アルバイトや副業も含めて完全に仕事をしていない状態が求められます。
もし待機期間中に収入が発生する仕事をしてしまうと、待機期間がその分だけ延長されてしまいます。
たとえば、7日間のうち2日間働いてしまった場合、待機期間はさらに2日間延長され、失業保険の受給開始が遅れることになります。
- 待機期間中はアルバイト・パート・日雇いなど就労形態を問わず仕事は禁止
- 待機期間中に働いた日数分、待機期間が延長される
- 資産運用やポイ活などグレーなケースはハローワークに事前確認が必要
参考:弥生株式会社「副業していても失業保険はもらえる?」
受給期間中はもう一方の仕事を1日4時間未満に抑える
待機期間が終了した後の受給期間中であっても、働き方には制限があります。
雇用保険のルールでは、1日4時間以上の労働は「就労」とみなされ、その日の失業保険は支給されません。
一方、1日4時間未満の労働であれば「内職・手伝い」として扱われます。
この場合、収入額に応じて基本手当が減額されることはありますが、完全に受給できなくなるわけではありません。
| 1日の労働時間 | 失業保険の扱い |
|---|---|
| 4時間以上 | その日は不支給(繰り越し可能) |
| 4時間未満 | 収入に応じて減額される場合あり |
なお、1日4時間以上働いて不支給になった分は、後日に繰り越して受給できます。
給付日数自体が減るわけではないので、受給総額に大きな影響はありません。
もう一方の仕事の労働時間を週20時間未満にする
週20時間以上の勤務は、雇用保険の加入要件を満たしてしまうため「継続的な就労」と判断されます。
この場合、働いていない日も含めて失業保険が支給されなくなる可能性があります。
週20時間以上働くということは、すでに安定した雇用関係にあると見なされるためです。
ダブルワークでパートやアルバイトを続けている方は、シフト調整が必要になることもあります。
- 週20時間以上の労働は「就職」とみなされ、失業状態ではなくなる
- 週20時間以上かつ31日以上の雇用見込みがある場合は雇用保険の加入対象になる
- シフト調整が難しい場合は、一時的に休職することも検討する
参考:ハローワークインターネットサービス「基本手当について」
ダブルワークの場合に失業保険で受け取れる金額の計算方法
失業保険でいくら受け取れるのかは、多くの方が気になるポイントです。
ダブルワークの場合は、雇用保険に加入していた主たる職場の賃金のみが計算対象となります。
副業先の収入は計算に含まれないため、実際の総収入よりも低い金額がベースになることを覚えておきましょう。
基本手当日額の算出方法
失業保険の1日あたりの支給額を「基本手当日額」と呼びます。
この金額は、離職前6か月間に支払われた賃金をもとに計算されます。
計算の流れは以下のとおりです。
賃金日額の計算式
賃金日額 = 退職前6か月間の賃金合計 ÷ 180日
ここでいう「賃金」には、基本給のほか残業代・通勤手当・住宅手当などが含まれます。
ただし、賞与や退職金、各種祝金などは含まれません。
次に、賃金日額に給付率をかけて基本手当日額を算出します。
基本手当日額の計算式
基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50〜80%)
給付率は賃金日額が低いほど高くなり、年齢によっても変動します。
令和7年8月1日以降の基本手当日額の上限と下限は以下のとおりです。
| 離職時の年齢 | 基本手当日額の上限 | 基本手当日額の下限 |
|---|---|---|
| 29歳以下 | 7,255円 | 2,411円 |
| 30〜44歳 | 8,060円 | 2,411円 |
| 45〜59歳 | 8,870円 | 2,411円 |
| 60〜64歳 | 7,735円 | 2,411円 |
参考:厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」
副業収入がある場合の減額の仕組み
受給期間中に4時間未満の労働で収入を得た場合、基本手当日額から減額されることがあります。
減額の計算式は複雑で、収入から控除額を引いた金額と基本手当日額の合計が賃金日額の80%を超える場合に適用されます。
具体的には、超過した分だけ基本手当が減額される仕組みです。
- 副業収入が少額であれば減額なしで受給できることもある
- 収入が一定額を超えると、その日は不支給になる場合もある
- 不支給になった分は給付日数として繰り越されるため、受給総額は変わらない
減額の詳細な計算は複雑なため、具体的な金額を知りたい場合はハローワークで直接試算してもらうことをおすすめします。
ダブルワークで失業保険を受け取る際に知っておくべき注意事項
ダブルワークをしながら失業保険を受給する場合、いくつかの重要なポイントがあります。
制度を正しく理解して、自分に合った受給方法を選択しましょう。
まず覚えておきたいのは、1日4時間未満の労働であっても収入がある場合は基本手当が減額される可能性があるということです。
収入額によっては不支給になることもありますが、その分は給付日数として後日に繰り越されます。
つまり、受給できる総額が減るわけではなく、受給期間が延びる形になります。
もう一方の仕事を一時的に休むことで、基本手当を減額なしで全額受給することも可能です。
自分の状況に合わせて「副業収入を得ながら繰り越す」か「全額受給を優先する」かを選択しましょう。
| 選択肢 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 副業を続けながら受給 | 収入が途切れない | 基本手当が減額される可能性 |
| 副業を休んで全額受給 | 基本手当を満額もらえる | 副業収入がなくなる |
どちらが良いかは、副業収入の金額や生活状況によって異なります。
判断に迷う場合は、ハローワークの窓口で相談してみてください。
失業保険を受給するための手続き方法【3ステップ】
失業保険を受給するには、決められた手順に沿って手続きを進める必要があります。
手続きを怠ると受給が遅れたり、最悪の場合は受給資格を失ってしまうこともあります。
ここでは、申請から受給までの流れを3つのステップで解説します。
ステップ1|必要書類を揃えてハローワークで申請する
まずは必要書類を準備して、住所地を管轄するハローワークで手続きを行います。
手続きには以下の書類が必要です。
- 離職票-1および離職票-2(退職した会社から受け取る)
- マイナンバー確認書類(マイナンバーカード、通知カードなど)
- 本人確認書類(運転免許証、パスポートなど)
- 証明写真2枚(縦3cm×横2.4cm)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
離職票は退職後に会社から郵送されることが多いですが、届かない場合は会社に催促しましょう。
ハローワークで求職申込みと受給資格の確認を行うと、その日から7日間の待機期間が始まります。
ステップ2|雇用保険受給者初回説明会に参加する
待機期間が終了すると、ハローワークで開催される「雇用保険受給者初回説明会」に参加します。
この説明会への出席は必須であり、欠席すると失業保険を受給できなくなります。
説明会では失業保険の仕組みや受給ルール、求職活動の進め方について詳しく説明されます。
説明会で配布されるもの
- 雇用保険受給資格者証
- 失業認定申告書
また、初回の失業認定日もこのときに指定されます。
不明点があれば説明会で質問できるので、疑問点は事前にメモしておきましょう。
ステップ3|失業認定日にハローワークへ行き認定を受ける
失業認定日には、指定された日時にハローワークへ行き、失業状態の認定を受けます。
失業認定は原則として4週間に1回行われ、この認定を受けないと失業保険は支給されません。
認定日には「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を提出します。
失業認定申告書には、前回の認定日から今回までの間に働いた日や求職活動の内容を記入します。
ダブルワークで副業収入がある場合は、必ず正確に申告してください。
- 認定期間中に働いた日数と収入額を正確に記入する
- 求職活動の実績(応募した企業、面接日など)を記入する
- 虚偽の申告は不正受給となり、厳しいペナルティがある
認定が完了すると、約1週間後に指定した口座へ失業保険が振り込まれます。
ダブルワークで失業保険を受ける場合に気をつけるべき2つの注意点
ダブルワークをしながら失業保険を受給する際には、特に注意すべきポイントが2つあります。
これらを守らないと、不正受給とみなされて重いペナルティを受ける可能性があります。
正しく理解して、トラブルを未然に防ぎましょう。
収入や労働時間の申告漏れは不正受給になる
ダブルワーク中の収入や労働時間は、認定日に必ずハローワークへ申告する必要があります。
「少しだけだから」「バレないだろう」と申告を怠ったり、虚偽の報告をしたりすると「不正受給」とみなされます。
不正受給が発覚した場合のペナルティは非常に重く、以下のような処分を受けることになります。
- 不正受給が発覚した日以降、失業保険の受給資格を失う
- 不正に受給した金額の全額返還を求められる
- 返還額に加えて、その2倍の金額を納付しなければならない(3倍返し)
つまり、不正受給した金額の3倍以上を支払うことになります。
正しく申告していれば、収入があっても問題なく失業保険を受け取れます。
申告を正確に行うことが、自分を守ることにつながります。
参考:厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
雇用保険の二重加入が起きていないか確認する
雇用保険に加入できるのは「主たる職場」の1社のみです。
通常は役所側で二重加入を防ぐ仕組みがありますが、手続きのミスなどで二重加入が発生するケースもあります。
二重加入自体に罰則はありませんが、離職後の手続きが複雑になるため早めの対応が必要です。
二重加入が判明した場合は、収入が少ない方の職場で「取消願」を提出して訂正します。
自分がどの職場で雇用保険に加入しているか不明な場合は、給与明細を確認するかハローワークに問い合わせましょう。
- 給与明細の「雇用保険料」欄を確認する
- 複数の職場で雇用保険料が引かれている場合は二重加入の可能性あり
- 不明点はハローワークに問い合わせて確認する
失業保険とダブルワークに関するよくある質問
ダブルワークと失業保険に関して、よく寄せられる質問にお答えします。
失業保険を受給しながらダブルワークを続けることはできる?
一定の条件を満たせば、失業保険を受給しながらダブルワークを続けることは可能です。
その条件とは「待機期間(7日間)終了後であること」「1日4時間未満の労働であること」「週20時間未満の労働であること」の3つです。
ただし、収入がある日は基本手当が減額または不支給になります。
不支給になった分は給付日数として繰り越されるため、最終的な受給総額は変わりません。
ダブルワークで両方とも週20時間未満の場合はどうなる?
どちらの職場でも雇用保険の加入要件(週20時間以上)を満たしていない場合、そもそも雇用保険に加入できません。
雇用保険に加入していなければ、失業保険の受給資格は発生しません。
つまり、少なくとも一方の職場で週20時間以上勤務し、雇用保険に加入していることが前提となります。
両方とも週20時間未満で働いている場合は、失業保険を受け取ることができない点に注意してください。
失業保険をもらいながら副業することは可能?
待機期間(7日間)終了後であれば、条件付きで副業をすることは可能です。
守るべき条件は以下のとおりです。
- 1日の労働時間を4時間未満に抑える
- 週の労働時間を20時間未満に抑える
- 副業による収入は認定日に必ず申告する
これらの条件を守っていれば、副業をしながら失業保険を受給できます。
申告を怠ると不正受給になるため、必ず正確に申告してください。
ダブルワークの失業保険は具体的にいくらもらえる?
受給額は、雇用保険に加入していた主たる職場の賃金をもとに算出されます。
副業先の収入は計算に含まれないため、実際の総収入より低い金額がベースになります。
副業収入がある日は減額されますが、減額・不支給分は後日に繰り越されます。
具体的な金額を知りたい場合は、ハローワークで試算してもらうのが最も確実です。
離職票を持参すれば、窓口で受給額のシミュレーションをしてもらえます。

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