妊娠を機に退職するのはもったいない?産休・育休を取るべき理由と知っておきたい手当制度

妊娠がわかったとき、多くの女性が「このまま仕事を続けるべきか、それとも退職すべきか」という大きな決断を迫られます。

体調の変化や将来への不安から、すぐに辞めたいと考える方も少なくありません

しかし、退職のタイミングや手続きを間違えると、本来受け取れるはずの手当を逃してしまうケースがあります

この記事では、妊娠を機に退職することで失われる可能性がある手当制度や、産休・育休を取得するメリットを詳しく解説します。

どうしても退職を選ぶ場合に押さえておくべきポイントもまとめていますので、後悔のない選択をするための参考にしてください

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目次

妊娠を機に退職するのは本当にもったいない?損をする5つの理由

妊娠を機に退職を考えている方にとって、「もったいない」という言葉を聞くと、本当にそうなのか気になりますよね

結論から言うと、タイミングや手続きを誤ると、数十万円から100万円以上の経済的損失が発生する可能性があります

ここからは、妊娠を機に退職すると損をしてしまう具体的な理由を5つ解説していきます。

まずは自分がどれに該当するのかをチェックして、退職の判断材料にしてみてください

退職のデメリット影響額の目安
育児休業給付金が受け取れない月収の50〜67%×最大2年分
出産手当金を受給できない可能性約50〜100万円
社会保険料の免除が受けられない約30〜60万円
失業手当がすぐにもらえない待機期間中の生活費
再就職時のブランクキャリアや年収への影響

これらのデメリットは、知っているか知らないかで大きな差がつきます

それぞれの詳細を見ていきましょう。

育児休業給付金が受け取れなくなる

妊娠を機に退職してしまうと、育児休業給付金を受け取る権利を失ってしまいます

育児休業給付金とは、雇用保険に加入している労働者が育児休業を取得した際に、国から支給される給付金のことです。

この給付金は、休業開始から180日目までは月収の67%、181日目以降は50%が支給される仕組みになっています。

厚生労働省の資料によると、2025年4月からは「出生後休業支援給付金」という制度も新設され、条件を満たせば最大28日間は給付率が80%に引き上げられます。

厚生労働省「育児休業給付等の内容及び支給申請手続について」

「育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除され、勤務先から給与が支給されない場合は雇用保険料の負担はありません。また、育児休業等給付は非課税です。このため、休業開始時賃金日額の80%の給付率で手取り10割相当の給付となります」

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001461102.pdf

仮に月収25万円の場合、育児休業給付金だけで約150万円以上を受け取れる計算になります。

退職してしまうと、この給付金は一切もらえなくなってしまうのです

出産手当金の受給資格を失う可能性がある

出産手当金は、健康保険に加入している女性が産前産後休業中に受け取れる手当です。

退職のタイミングを間違えると、この手当を受け取れなくなってしまいます

出産手当金を退職後も受け取るためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  • 退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
  • 退職日が出産予定日の42日前以降であること(産前休業期間内)
  • 退職日当日に出勤していないこと

たとえば、出産予定日の2ヶ月前に退職してしまうと、出産手当金の支給対象外となってしまいます

支給額は「標準報酬日額の3分の2×産前42日+産後56日」で計算されるため、月収25万円の場合は約50〜60万円もの金額になります。

退職日を1日間違えるだけで、この金額を受け取り損ねる可能性があるのです

産休・育休中は社会保険料が免除される

会社に在籍したまま産休・育休を取得すると、社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が免除されます

この免除制度は、本人負担分だけでなく会社負担分も含めて適用されます

社会保険料の免除期間は、産前産後休業の開始月から育児休業の終了月までとなっています。

仮に月収25万円の方が1年間の育休を取得した場合、免除される社会保険料は約40万円にもなります。

社会保険料の種類本人負担率(概算)月収25万円の場合の月額
健康保険料約5%約12,500円
厚生年金保険料約9%約22,500円
合計約14%約35,000円

退職してしまうと、この免除は受けられません

夫の扶養に入れない場合は、国民健康保険や国民年金に加入し、自分で保険料を支払う必要が出てきます

失業手当はすぐに受け取れない

妊娠を理由に退職した場合、失業手当(雇用保険の基本手当)をすぐに受け取ることはできません

なぜなら、失業手当は「すぐに働ける状態にある」ことが受給条件だからです。

妊娠中や出産直後は、一般的に「就労が難しい状態」と判断されます。

そのため、失業手当を受け取るには「受給期間の延長手続き」が必要になります。

この延長手続きを行えば、最長で離職日の翌日から4年間まで受給期間を延ばすことができます

ただし、延長期間中は給付が一切ないため、その間の生活費は自分で確保しなければなりません

産休・育休を取得していれば、休業中も育児休業給付金で収入が得られることを考えると、経済的な差は大きいと言えます。

再就職時にブランクがマイナス評価になりやすい

妊娠を機に退職すると、再就職時に「ブランク期間」がマイナス評価になることがあります

特に、出産・育児で2〜3年以上のブランクがあると、即戦力として見てもらいにくくなる傾向があります。

一方、産休・育休を取得して復帰した場合は、キャリアが途切れずに済みます

復帰後に転職を考える場合でも、「直近まで働いていた」という実績があるほうが有利に働くことが多いです。

  • 退職した場合:履歴書に空白期間が生まれ、説明が必要になる
  • 産休・育休を取得した場合:在籍期間が継続し、復帰後の転職活動も有利に

また、会社に籍を残しておけば、時短勤務制度や育児のための看護休暇なども活用できます

退職は簡単にできますが、一度辞めた後に同じ条件で再就職するのは難しいということを覚えておきましょう。

産休・育休を取得することで得られる5つのメリット

ここまで退職のデメリットをお伝えしてきましたが、産休・育休を取得することには多くのメリットがあります

収入面だけでなく、精神的な安心感やキャリア継続の観点からも、会社に籍を残すことは大きなプラスになります。

ここからは、産休・育休を取得することで得られる具体的なメリットを5つ紹介します。

退職を決断する前に、これらのメリットをしっかり把握しておきましょう。

休業中も収入の約67%が保障される

産休・育休中は給与が支給されないことが多いですが、代わりに給付金という形で収入が保障されます

産休中は健康保険から「出産手当金」が支給され、標準報酬日額の3分の2(約67%)を受け取ることができます

育休中は雇用保険から「育児休業給付金」が支給され、180日目までは月収の67%、181日目以降は50%が給付されます

さらに2025年4月からは、条件を満たせば最大28日間は給付率が80%に引き上げられる「出生後休業支援給付金」がスタートしました。

期間給付金の種類給付率
産前42日・産後56日出産手当金約67%(標準報酬日額の2/3)
育休開始〜180日目育児休業給付金67%
育休181日目以降育児休業給付金50%
出生後8週間以内(条件あり)出生後休業支援給付金13%上乗せ(計80%)

給付金は非課税で、社会保険料も免除されるため、実質的な手取りは休業前の8割程度になります。

無収入になる退職と比べると、経済的な安心感は大きく異なります

退職せず籍を残せるので復帰しやすい

産休・育休を取得すれば、会社に籍を残したまま休業することができます

これは、育児がひと段落した後に職場復帰しやすいという大きなメリットにつながります。

復帰後は、原則として休業前と同じ部署・同じポジションで働くことができます

また、復帰後に利用できる制度も充実しています。

  • 3歳未満の子を養育する場合、所定労働時間の短縮(時短勤務)を請求できる
  • 子どもの看護が必要なとき、年間5日(2人以上なら10日)の看護休暇を取得できる
  • 3歳未満の子を養育する場合、所定外労働(残業)の免除を請求できる

これらの制度は、会社に在籍していてこそ利用できるものです

退職してしまうと、再就職先でこれらの制度をすぐに使えない可能性があります

社会保険料の負担がゼロになる期間がある

産休・育休中は、申出により社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料)が免除されます

この免除は本人負担分だけでなく、会社負担分も対象となります。

免除されても、将来の年金受給額には影響しません

具体的には、産前産後休業期間中と育児休業期間中が免除の対象です。

  • 産前産後休業期間(産前42日〜産後56日)
  • 育児休業期間(子どもが原則1歳になるまで、延長時は最長2歳まで)

月収25万円の場合、1年間の育休で免除される社会保険料は約40万円にもなります

退職して国民健康保険に加入すると、この金額を自己負担することになるため、家計への影響は非常に大きいです。

将来の年金受給額にも好影響

産休・育休中の社会保険料が免除されても、将来の年金受給額には影響しない仕組みになっています。

これは「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」という制度によるものです。

この制度では、3歳未満の子どもを養育している期間について、休業前の標準報酬月額で年金額が計算されます

つまり、育休中に保険料を払っていなくても、将来の年金は休業前と同じ水準で受け取れるのです。

状況将来の年金への影響
産休・育休を取得して復帰休業前の標準報酬月額で計算(不利益なし)
退職して無職期間が発生国民年金のみとなり、厚生年金の上乗せがない

退職して長期間無職になると、厚生年金に加入できない期間が生じます

将来の年金受給額を減らさないためにも、できれば会社に籍を残しておくことをおすすめします

精神的な余裕を持って出産・育児に臨める

産休・育休を取得すると、経済面だけでなく精神面でも大きな安心感が得られます

「復帰する場所がある」という状態は、出産・育児に専念するうえでの大きな支えになります。

退職してしまうと、育児が落ち着いた後に「仕事が見つかるだろうか」という不安がつきまといます

保育園の入園審査でも、「就労中」のほうが「求職中」よりも有利になる傾向があります。

  • 就労中(育休中含む):保育園の利用調整で高得点になりやすい
  • 求職中:点数が低くなり、希望の保育園に入れない可能性がある

精神的な余裕を持って出産・育児に向き合うためにも、可能であれば産休・育休の取得を検討してみてください

産休・育休中に受け取れる4つの手当金制度

産休・育休中には、複数の手当金や給付金を受け取ることができます

これらを正しく理解しておかないと、申請漏れで損をしてしまう可能性があります

ここからは、妊娠・出産・育児に関連する4つの手当金制度について詳しく解説します。

それぞれの受給条件や金額を把握して、受け取り損ねがないようにしましょう。

出産育児一時金|子ども1人につき50万円

出産育児一時金は、出産にかかる費用を軽減するための一時金です。

健康保険または国民健康保険に加入していれば、働いているかどうかに関係なく受け取ることができます

2023年4月から支給額が42万円から50万円に引き上げられました

厚生労働省「出産育児一時金等について」

「公的医療保険の加入者が出産したとき、お子さま1人につき原則50万円がご加入の保険者から支給される制度です」

出典:https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/shussan/index.html

出産育児一時金の主なポイントは以下のとおりです。

項目内容
支給額子ども1人につき50万円(産科医療補償制度対象外は48.8万円)
対象者健康保険または国民健康保険の加入者(被扶養者含む)
支給条件妊娠4ヶ月(85日)以上の出産(流産・死産も含む)
申請方法直接支払制度、受取代理制度、事後申請のいずれか

直接支払制度を利用すれば、出産費用から一時金が差し引かれるため、窓口での支払いを抑えることができます

退職していても、退職後6ヶ月以内の出産であれば、以前加入していた健康保険から受け取れる場合があります

出産手当金|産前産後の収入をカバー

出産手当金は、産前産後休業中の収入を補う目的で、健康保険から支給される手当です。

対象となるのは、勤務先の健康保険(協会けんぽや健康保険組合)に加入している女性本人です。

国民健康保険には出産手当金制度がないため、自営業やフリーランスの方は対象外となります。

支給額は、以下の計算式で算出されます。

1日あたりの支給額の計算式

支給開始日以前12ヶ月間の各月の標準報酬月額の平均 ÷ 30日 × 2/3

支給期間は、出産日(出産が予定日より遅れた場合は出産予定日)以前42日から、出産日の翌日以後56日までの範囲です。

  • 産前:出産予定日を含む42日間
  • 産後:出産日の翌日から56日間
  • 予定日より遅れた場合:遅れた日数分も支給対象

月収25万円の場合、約55万円程度を受け取れる計算になります。

退職後も受け取るには、被保険者期間が1年以上あり、退職日が産休期間中であることが条件です。

育児休業給付金|最長2年間受給できる可能性も

育児休業給付金は、育児休業を取得した際に雇用保険から支給される給付金です。

支給額は、育休開始から180日目までは月収の67%、181日目以降は50%となっています。

原則として子どもが1歳になるまで支給されますが、保育所に入れないなどの事情があれば最長2歳まで延長できます

受給するためには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 雇用保険に加入していること
  • 育休開始前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上の月が12ヶ月以上あること
  • 育休終了後に職場復帰する予定であること

2025年4月からは、新たに「出生後休業支援給付金」が創設されました

両親がそれぞれ14日以上の育休を取得すると、従来の67%に13%が上乗せされ、最大28日間は80%の給付率となります。

給付金の種類給付率支給期間
育児休業給付金(〜180日)67%育休開始〜180日目
育児休業給付金(181日〜)50%181日目〜最長2歳まで
出生後休業支援給付金(2025年4月〜)13%上乗せ(計80%)最大28日間

育児休業給付金は非課税で、社会保険料も免除されるため、実質的な手取りは休業前の8割程度になります。

社会保険料免除|見落としがちな大きなメリット

産休・育休中の社会保険料免除は、給付金と比べて見落とされがちですが、実は大きな経済的メリットがあります

産前産後休業期間中と育児休業期間中は、申出により健康保険料と厚生年金保険料が免除されます

この免除は本人負担分だけでなく、会社負担分も対象となります。

しかも、免除期間中も保険料を納めたものとして扱われるため、将来の年金受給額には影響しません

免除期間と効果をまとめると以下のようになります。

免除される期間対象となる保険料年金への影響
産前産後休業期間健康保険料・厚生年金保険料保険料納付済として扱われる
育児休業期間健康保険料・厚生年金保険料保険料納付済として扱われる

月収25万円の場合、1年間の育休で免除される社会保険料は約40万円です。

退職してしまうと、国民健康保険や国民年金に切り替える必要があり、この金額を自己負担しなければなりません

「産休・育休を取って退職」は法律上問題ない

「産休や育休を取った後に退職するのは、ルール違反なのでは?」と心配する方もいるかもしれません。

しかし、産休・育休後の退職には法律上の問題はありません

ここからは、退職の法的な問題点と育児休業給付金の返金義務について解説します。

ただし、円満退職のために配慮すべき点もあるので、最後まで確認してください

産休・育休後の退職に違法性はない

産休・育休を取得した後に退職することは、法律上まったく問題ありません

育児休業法でも、育休後の退職を禁止する規定は存在しないのです

育休開始時には復帰するつもりでいたものの、育児をしてみると予想以上に大変で、復帰が難しくなることはよくあります

家庭の事情や体調の変化によって、育休中に退職を決断するケースは珍しくありません。

  • 復帰するつもりで育休を取得し、事情が変わって退職する → 問題なし
  • 最初から退職するつもりで育休を取得し、給付金を受け取る → 不正受給にあたる可能性あり

重要なのは、育休取得時点で復帰の意思があったかどうかです。

当初から復帰するつもりがなかったにもかかわらず給付金を受け取った場合は、不正受給とみなされる可能性があります

育児休業給付金の返金義務もない

育休中や育休後に退職した場合でも、すでに受け取った育児休業給付金を返金する義務はありません

リアルミーキャリア「育休中の退職・転職で育児休業給付金はもらえる?返還しなくていいの?」

「もともと復帰するつもりで育児休業に入ったものの、家庭の事情やさまざまな事情で仕事に復帰しない選択をとるご家庭もあることでしょう。育児休業に入る前は復帰するつもりでいた前提があるので、この場合は育休終了と同時に退職しても給付金はもらえます」

出典:https://www.realme-career.com/articles/4440

ただし、育休中に退職を申し出ると、退職日以降の給付金は打ち切りとなります

また、2025年4月の制度改正により、退職日までが支給対象となりました。

ケース育児休業給付金の扱い
育休後に復帰し、しばらくして退職返金義務なし
育休中に退職を決断退職日までは支給、返金義務なし
当初から退職するつもりで育休取得不正受給として返還請求の可能性あり

制度の趣旨を理解したうえで、適切に育休を活用しましょう

ただし円満退職のために配慮は必要

法律上は問題がなくても、職場への配慮は必要です

会社は復帰を前提として人員配置や業務計画を立てているため、急な退職は迷惑をかけてしまいます

円満に退職するためには、以下のポイントを押さえておきましょう

  • 退職の意思が固まったら、なるべく早く上司に伝える
  • 復帰予定日の1〜2ヶ月前には退職の意向を相談する
  • 引き継ぎが必要な場合は、可能な範囲で協力する姿勢を見せる
  • 感謝の気持ちを伝え、丁寧に退職の理由を説明する

また、就業規則で退職の申し出期限が定められている場合は、それに従う必要があります

法的な問題がないからといって、不義理な辞め方をすると、将来的に困る場面が出てくるかもしれません

それでも退職を選ぶ人がいる理由とは

産休・育休のメリットを理解していても、やむを得ず退職を選ぶ方もいます

その判断は決して間違いではありません

ここからは、妊娠を機に退職を選ぶ主な理由を3つ紹介します。

自分の状況と照らし合わせて、本当に退職が最善の選択かどうかを考えてみてください。

つわりや体調不良で勤務継続が難しい

妊娠初期のつわりや、妊娠中期以降の体調変化により、仕事を続けることが難しくなるケースがあります

特に、立ち仕事や体力を使う仕事の場合、妊娠を継続しながら働くことに限界を感じる方は少なくありません

妊娠中に起こりやすい体調の変化には、以下のようなものがあります

  • 吐き気や嘔吐を伴う強いつわり
  • 切迫流産や切迫早産で安静を指示される
  • 妊娠高血圧症候群などの合併症
  • 強い倦怠感や眠気で仕事に集中できない
  • 通勤ラッシュで体調が悪化する

医師から安静を指示された場合や、無理をすると母体や赤ちゃんに影響が出る場合は、退職もやむを得ない選択です。

ただし、退職する前に、時短勤務や在宅勤務、休職などの選択肢がないか会社に相談してみることをおすすめします

職場環境やマタハラに悩んでいる

職場の環境や人間関係が原因で、退職を選ぶ方もいます

特に、マタニティハラスメント(マタハラ)を受けている場合は、精神的な負担が大きくなります

マタハラとは、妊娠・出産・育児休業などを理由に、不当な扱いを受けることです。

具体的には以下のような行為が該当します。

マタハラの例具体的な行為
不利益な取り扱い妊娠を理由に降格・減給・解雇される
精神的な嫌がらせ「妊婦は迷惑」などの発言を繰り返される
業務上の嫌がらせ育休取得を妨害される、復帰後に閑職に追いやられる
退職の強要「産休を取るなら辞めてほしい」と言われる

マタハラは法律で禁止されており、会社には防止措置を講じる義務があります

我慢し続ける必要はありませんが、退職する前に労働局や弁護士に相談することも検討してみてください

育児に専念したいという価値観

経済的なメリット・デメリットを理解したうえで、それでも育児に専念したいという方もいます

これは個人の価値観に基づく選択であり、尊重されるべきものです

育児に専念することを選ぶ理由としては、以下のようなものがあります

  • 子どもの成長を間近で見守りたい
  • 乳幼児期は自分の手で育てたい
  • 家庭と仕事の両立にストレスを感じたくない
  • パートナーの収入だけで生活できる見込みがある

重要なのは、後悔のない選択をすることです。

「なんとなく」ではなく、経済面・精神面・キャリア面を総合的に考えて判断しましょう

どうしても退職する場合に押さえておくべき3つのポイント

ここまで読んで、それでも退職を選ぶと決めた方もいるでしょう

その場合でも、手続きを正しく行えば損失を最小限に抑えることができます

ここからは、妊娠を機に退職する場合に必ず押さえておくべきポイントを3つ解説します。

知らないと損をする内容ばかりなので、退職前に必ずチェックしてください。

失業手当の受給期間延長を必ず申請する

妊娠を理由に退職した場合、失業手当(雇用保険の基本手当)はすぐには受け取れません

しかし、「受給期間の延長」を申請すれば、出産・育児がひと段落した後に受け取ることができます

通常、失業手当を受給できる期間は離職日の翌日から1年間です。

延長申請をすると、この期間を最長で4年間まで延ばすことができます。

厚生労働省「基本手当の受給期間延長」

「雇用保険の基本手当は、原則、離職日の翌日から1年以内の失業している日について、一定の日数分支給します。しかし、この受給期間内に、妊娠、出産等の理由により引き続き30日以上職業に就くことができない場合は、ハローワークに申請することにより、受給期間を最長、離職日の翌日から4年以内まで延長することができます」

出典:https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000163256.pdf

延長申請の手続きは以下のとおりです。

項目内容
申請先住所地を管轄するハローワーク
申請期限離職日の翌日から30日経過後、できるだけ早めに
必要書類受給期間延長申請書、離職票、延長理由を確認できる書類(母子手帳など)
申請方法窓口への来所または郵送

この手続きを忘れると、本来受け取れるはずの失業手当を受給できなくなってしまいます

退職後は必ずハローワークに相談し、延長申請を行いましょう

退職のタイミングは慎重に決める

出産手当金を受け取りたい場合、退職のタイミングが非常に重要です

タイミングを間違えると、数十万円の手当を受け取り損ねてしまいます

出産手当金を退職後も受け取るための条件は以下のとおりです

  • 退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること
  • 退職日が出産予定日の42日前以降であること(産前休業期間内)
  • 退職日当日に出勤していないこと

たとえば、出産予定日が7月1日の場合、5月20日以降に退職すれば出産手当金の対象になります。

5月19日以前に退職してしまうと、出産手当金は受け取れません

  • 退職日が産前42日目より前:出産手当金は受け取れない
  • 退職日が産前42日目以降で、退職日に出勤していない:出産手当金を受け取れる
  • 退職日が産前42日目以降でも、退職日に出勤した:出産手当金は受け取れない

退職日を1日間違えるだけで大きな損失になるため、必ず確認してから退職届を出しましょう

健康保険の切り替え手続きを忘れない

退職すると、それまで加入していた健康保険の資格を失います

退職後は、以下のいずれかに加入する必要があります

選択肢概要
国民健康保険に加入市区町村の窓口で手続き
任意継続被保険者になる退職後20日以内に手続きが必要、最長2年間加入可能
配偶者の扶養に入る収入要件を満たせば加入可能

妊娠中は医療機関を受診する機会が多いため、保険証がない状態は避けなければなりません

任意継続を選ぶ場合は、退職日の翌日から20日以内に手続きを完了させる必要があります

また、出産育児一時金は、退職後6ヶ月以内の出産であれば、以前加入していた健康保険から受け取ることもできます

どの方法が最も有利かは状況によって異なるため、退職前に健康保険組合や市区町村の窓口に相談しておきましょう

よくある質問

妊娠を機に退職を考えている方から、よく寄せられる質問をまとめました

気になる疑問を解消して、後悔のない判断をしてください

妊娠して仕事を辞めた人の割合はどのくらい?

妊娠・出産を機に退職する女性の割合は、年々減少傾向にあります

国立社会保障・人口問題研究所の調査によると、第1子出産前後の女性の就業継続率は、2010年代後半には約7割にまで上昇しています。

調査時期就業継続率(育休利用)出産退職率
1985〜1989年約5%約61%
2010〜2014年約28%約33%
2015年以降約40%以上約23%程度

以前は妊娠したら退職するのが当たり前でしたが、今は産休・育休を取得して働き続ける人が多数派になっています。

制度の整備が進み、会社も育休取得を支援する傾向が強まっているためです

産休を取るのと失業保険をもらうのはどちらがお得?

結論から言うと、産休・育休を取得するほうが経済的にはお得です

産休・育休を取得した場合と、退職して失業手当を受け取った場合を比較してみましょう

項目産休・育休を取得退職して失業手当
産休中の収入出産手当金(月収の約67%)なし
育休中の収入育児休業給付金(月収の50〜67%)なし
失業手当復帰後に退職した場合は受給可能延長申請後、求職活動再開時に受給
社会保険料免除自己負担(国保・国民年金)
年金への影響不利益なし厚生年金の上乗せがない期間が発生

産休・育休中は非課税の給付金を受け取りながら、社会保険料も免除されます

失業手当は出産後に求職活動を始めてからしか受け取れないため、収入が途切れる期間が長くなります

月収20万円で育休を取った場合いくら受け取れる?

月収20万円で育休を取得した場合、育児休業給付金の目安は以下のとおりです

計算方法
  • 育休開始〜180日目:20万円 × 67% = 約13.4万円/月
  • 育休181日目以降:20万円 × 50% = 約10万円/月

子どもが1歳になるまで(約10ヶ月)育休を取得した場合の総額を計算すると、おおよそ次のようになります

期間給付率月額期間小計
1〜6ヶ月目67%約13.4万円6ヶ月約80.4万円
7〜10ヶ月目50%約10万円4ヶ月約40万円
合計10ヶ月約120万円

さらに、社会保険料の免除分(約28万円)を加えると、実質的なメリットは約150万円にもなります

退職してしまうと、このすべてを受け取れなくなる点に注意してください

妊娠中に無職になると手当は一切もらえない?

妊娠中に無職になっても、受け取れる手当はあります

ただし、退職のタイミングや条件によって、受け取れる手当が変わってきます

手当の種類退職後も受け取れる条件
出産育児一時金(50万円)健康保険または国民健康保険に加入していれば受給可能
出産手当金被保険者期間1年以上、退職日が産前休業期間内、退職日に出勤していない場合
育児休業給付金退職すると受給不可
失業手当受給期間延長後、求職活動再開時に受給可能

出産育児一時金は、配偶者の扶養に入っている場合でも「家族出産育児一時金」として受け取れます

出産手当金と育児休業給付金は、退職すると基本的に受け取れなくなるため、退職前に条件をよく確認しましょう

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