失業保険を手取りから計算する方法|給与別シミュレーションと実際に受け取れる金額を徹底解説

「失業保険って手取りからどう計算するの?」「実際にいくら受け取れるの?」と疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。

失業保険の計算は、実は手取り額ではなく「総支給額」をベースに行います。

しかし、自分の手取り給与しか把握していない方がほとんどです。

この記事では、手取り給与から総支給額を逆算し、失業保険の受給額を計算する方法をわかりやすく解説します。

さらに、2025年4月の法改正で変わった給付制限期間や、税金・社会保険料を差し引いた「本当の手残り額」まで詳しくお伝えします。

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目次

失業保険の計算は「手取り」ではなく「総支給額」がベースになる

失業保険の受給額を正しく知るためには、まず「手取り」と「総支給額」の違いを理解する必要があります。

多くの方が勘違いしているポイントですが、失業保険の計算に使われるのは毎月振り込まれる手取り額ではありません。

税金や社会保険料が引かれる前の「総支給額(額面)」が計算の基準になります。

つまり、自分の手取り額しか把握していない場合は、まず総支給額を逆算するところからスタートする必要があります。

手取りと総支給額の違いとは

手取りと総支給額は、同じ給与でもまったく異なる金額を指します。

総支給額とは会社があなたに支払う賃金の総額のことで、基本給に各種手当を加えた金額です。

一方、手取りは総支給額から税金や社会保険料などが差し引かれた後の金額を指します。

具体的に差し引かれる項目は次のとおりです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 健康保険料
  • 厚生年金保険料
  • 雇用保険料
  • 介護保険料(40歳以上の場合)

これらの控除額の合計は、一般的に総支給額の15〜25%程度になります。

そのため手取り額は、総支給額のおよそ75〜85%になるといわれています。

厚生労働省の資料によると、失業保険の基本手当は「離職日の直前6か月に毎月決まって支払われた賃金」をもとに計算されます。

参考:厚生労働省|雇用保険の基本手当日額の変更

手取り額から総支給額を逆算する計算式

手取り額から総支給額を逆算するには、次の計算式を使います。

総支給額 = 手取り額 ÷ 0.75〜0.85

掛け率は年齢や扶養家族の有無、住んでいる地域によって変動します。

独身で扶養家族がいない方は0.80で割るとおおよその総支給額が算出できます。

扶養家族がいる方は控除額が減るため、0.82〜0.85で割ると実態に近い数字が出やすくなります。

たとえば手取り20万円の場合、総支給額の目安は次のようになります。

手取り20万円の総支給額目安
手取り額計算式総支給額(目安)
20万円20万円÷0.80約25万円
20万円20万円÷0.77約26万円
20万円20万円÷0.75約26.7万円

より正確な金額を知りたい場合は、給与明細の「総支給額」または「額面」の欄を確認してください。

総支給額に含まれるもの・含まれないもの(ボーナスは対象外)

失業保険の計算に使われる「賃金」には含まれるものと含まれないものがあります。

この区別を間違えると、実際の受給額と大きく異なる計算結果になってしまいます。

総支給額に含まれるもの

  • 基本給
  • 残業手当(時間外手当)
  • 通勤手当(交通費)
  • 住宅手当
  • 役職手当
  • 資格手当
  • 家族手当

総支給額に含まれないもの

  • 賞与(ボーナス)
  • 退職金
  • 結婚祝い金などの一時金
  • 年3回以下の賞与

特に注意したいのがボーナスの扱いです。

毎月の給与とは別に支給される賞与は、失業保険の計算には含まれません。

年収ベースで考えると受給額が少なく感じるかもしれませんが、これは制度上のルールとして定められています。

失業保険の手取りから受給額を計算する4ステップ

失業保険の受給額を自分で計算するには、4つのステップを順番に踏んでいきます。

複雑に見えるかもしれませんが、一つずつ丁寧に計算すれば誰でも目安額を算出できます。

ここでは初心者の方でも理解しやすいよう、具体的な数字を使いながら解説していきます。

ステップ①|賃金日額を計算する(総支給額6ヶ月÷180)

最初のステップは「賃金日額」の計算です。

賃金日額とは、退職前6か月間の賃金を1日あたりに換算した金額のことです。

計算式は次のとおりです。

賃金日額 = 退職前6か月間の総支給額合計 ÷ 180

たとえば、毎月の総支給額が26万円だった場合の計算は以下のようになります。

  • 6か月間の総支給額合計:26万円 × 6か月 = 156万円
  • 賃金日額:156万円 ÷ 180 = 約8,667円

この賃金日額が次のステップで使う「基本手当日額」を算出するための基準になります。

なお、賃金日額には年齢ごとに上限額と下限額が設定されています。

令和7年8月1日以降の上限額は次のとおりです。

賃金日額の上限額(令和7年8月1日以降)
年齢区分賃金日額の上限額
29歳以下14,510円
30〜44歳16,120円
45〜59歳17,750円
60〜64歳15,250円

参考:厚生労働省|令和7年8月1日からの基本手当日額等の適用について

ステップ②|基本手当日額を算出する(賃金日額×給付率)

次に、賃金日額に「給付率」を掛けて「基本手当日額」を算出します。

基本手当日額とは、失業保険として1日あたりに受け取れる金額のことです。

計算式は次のようになります。

基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50〜80%)

給付率は賃金日額が低いほど高く設定されており、最大で80%まで適用されます。

逆に賃金日額が高い方は給付率が下がり、最低で50%(60〜64歳は45%)になります。

賃金日額8,667円(30〜44歳)の場合、給付率はおよそ65〜70%程度となり、基本手当日額は約5,600〜6,000円と計算できます。

ただし、基本手当日額にも年齢ごとの上限額があります。

基本手当日額の上限額
年齢区分基本手当日額の上限額
29歳以下7,255円
30〜44歳8,055円
45〜59歳8,870円
60〜64歳7,623円

また、下限額は全年齢共通で2,411円です。

ステップ③|所定給付日数を確認する(退職理由・年齢・被保険者期間)

基本手当日額がわかったら、次は「所定給付日数」を確認します。

所定給付日数とは、失業保険を受け取れる最大の日数のことです。

この日数は退職理由、年齢、雇用保険の被保険者期間によって異なります。

自己都合退職(一般受給資格者)の場合、給付日数は次のように決まります。

自己都合退職の給付日数
被保険者期間給付日数
1年以上10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

会社都合退職(特定受給資格者)の場合は、年齢と被保険者期間の組み合わせで90日〜330日まで幅広く設定されています。

同じ10年勤務でも、自己都合なら90日、会社都合なら最大240日と大きな差が生まれます。

退職理由の判定は最終的にハローワークが行いますので、離職票の記載内容を必ず確認してください。

ステップ④|受給総額を計算する(基本手当日額×給付日数)

最後に、基本手当日額と所定給付日数を掛け合わせて受給総額を算出します。

受給総額 = 基本手当日額 × 所定給付日数

ここまでの計算例をまとめると、次のような結果になります。

  • 総支給額:月26万円
  • 賃金日額:約8,667円
  • 基本手当日額:約5,800円(35歳・自己都合退職の場合)
  • 所定給付日数:90日(被保険者期間5年の場合)
  • 受給総額:5,800円 × 90日 = 約52万円

この計算結果はあくまで目安です。

正確な金額はハローワークで受給資格決定後に交付される「雇用保険受給資格者証」で確認できます。

【年齢別】基本手当日額の給付率と上限額一覧

基本手当日額は年齢によって上限額が異なります。

また、給付率も賃金日額の金額帯によって細かく設定されています。

ここでは年齢別に給付率の目安と上限額をまとめて解説します。

29歳以下の給付率と基本手当日額

29歳以下の方は、失業保険の中でも基本手当日額の上限額が最も低く設定されています。

ただし、若い世代は賃金水準も比較的低い傾向にあるため、給付率が高くなりやすいという特徴があります。

29歳以下の給付率と基本手当日額
賃金日額給付率基本手当日額の目安
2,869円〜5,340円80%2,411円〜4,272円
5,340円〜13,140円80〜50%4,272円〜6,570円
13,140円〜14,510円50%6,570円〜7,255円
14,510円以上上限適用7,255円(上限)

29歳以下の方で月収が高い場合、上限額の7,255円が適用されます。

たとえば総支給額が35万円以上あっても、基本手当日額は7,255円を超えることはありません。

30〜44歳の給付率と基本手当日額

30〜44歳は、働き盛りの年代として上限額が29歳以下よりも高く設定されています。

この年代は住宅ローンや子育てなど支出も多い時期のため、給付水準も手厚くなっています。

30〜44歳の給付率と基本手当日額
賃金日額給付率基本手当日額の目安
2,869円〜5,340円80%2,411円〜4,272円
5,340円〜13,140円80〜50%4,272円〜6,570円
13,140円〜16,120円50%6,570円〜8,055円
16,120円以上上限適用8,055円(上限)

総支給額が月30万円程度の方であれば、基本手当日額は5,500〜6,500円程度になるケースが多いです。

45〜59歳の給付率と基本手当日額

45〜59歳は全年齢の中で最も基本手当日額の上限が高い年代です。

管理職や専門職として高い賃金を得ている方が多いため、上限額も引き上げられています。

45〜59歳の給付率と基本手当日額
賃金日額給付率基本手当日額の目安
2,869円〜5,340円80%2,411円〜4,272円
5,340円〜13,140円80〜50%4,272円〜6,570円
13,140円〜17,750円50%6,570円〜8,870円
17,750円以上上限適用8,870円(上限)

この年代で会社都合退職となった場合、給付日数も最大330日まで延長される可能性があります。

受給総額で見ると、最大で約290万円を超えるケースも存在します。

60〜64歳の給付率と基本手当日額

60〜64歳は定年退職を迎える方も多い年代です。

給付率は他の年代より低く設定されており、45〜80%の範囲で計算されます。

60〜64歳の給付率と基本手当日額
賃金日額給付率基本手当日額の目安
2,869円〜5,340円80%2,411円〜4,272円
5,340円〜11,800円80〜45%4,272円〜5,310円
11,800円〜15,250円45%5,310円〜6,863円
15,250円以上上限適用7,623円(上限)

60歳以降は再雇用制度で賃金が下がるケースも多いため、退職前の賃金水準によって受給額に大きな差が出やすい年代といえます。

【退職理由別】失業保険の給付日数を確認

失業保険の給付日数は、退職理由によって大きく異なります。

自己都合退職と会社都合退職では、同じ勤続年数でも受け取れる日数が2倍以上違うこともあります。

ここでは退職理由ごとの給付日数と、2025年4月の法改正についても詳しく解説します。

自己都合退職(一般受給資格者)の給付日数

転職や結婚など、自分の意思で退職した場合は「一般受給資格者」に分類されます。

一般受給資格者の所定給付日数は、被保険者期間のみで決まります。

自己都合退職の所定給付日数
被保険者期間所定給付日数
1年以上10年未満90日
10年以上20年未満120日
20年以上150日

自己都合退職の場合、年齢による給付日数の違いはありません。

20代でも50代でも、被保険者期間が同じなら同じ日数が適用されます。

会社都合退職(特定受給資格者)の給付日数

倒産や解雇など会社の都合で退職した場合は「特定受給資格者」に分類されます。

特定受給資格者は自己都合退職よりも給付日数が大幅に優遇されています。

会社都合退職の所定給付日数
被保険者期間30歳未満30〜34歳35〜44歳45〜59歳60〜64歳
1年未満90日90日90日90日90日
1年以上5年未満90日120日150日180日150日
5年以上10年未満120日180日180日240日180日
10年以上20年未満180日210日240日270日210日
20年以上240日270日330日240日

45〜59歳で20年以上勤務していた方が会社都合で退職した場合、最大330日間の給付を受けられます。

特定理由離職者の給付日数(病気・介護・雇い止めなど)

病気やケガ、家族の介護、有期雇用契約の雇い止めなど、やむを得ない理由で退職した場合は「特定理由離職者」に分類される可能性があります。

特定理由離職者として認められると、自己都合退職でも給付制限が免除されるなどの優遇措置を受けられます。

特定理由離職者に該当する主なケースは以下のとおりです。

  • 体力の不足、心身の障害、疾病などで離職した場合
  • 妊娠、出産、育児などで離職し、受給期間の延長措置を受けた場合
  • 父母の死亡、介護など家庭の事情で離職した場合
  • 配偶者や扶養親族との別居が困難になった場合
  • 有期労働契約の更新を希望したが認められなかった場合

これらに該当するかどうかは最終的にハローワークが判断します。

離職票を提出する際に、退職理由を正しく伝えることが重要です。

【2025年4月改正】自己都合退職の給付制限が2ヶ月→1ヶ月に短縮

2025年4月1日から、自己都合退職者の給付制限期間が大幅に短縮されました。

これまで自己都合退職の場合、7日間の待機期間に加えて2か月間の給付制限期間がありました。

しかし法改正により、2025年4月以降に離職した方は給付制限期間が1か月に短縮されています。

給付制限期間の変更
離職日待機期間給付制限期間給付開始までの目安
2025年3月31日以前7日間2か月約2か月半後
2025年4月1日以降7日間1か月約1か月半後

この改正により、自己都合退職でも約1か月早く失業保険を受け取れるようになりました。

さらに、離職前1年以内または離職期間中に教育訓練給付金の対象講座を受講していた場合は、給付制限期間が完全に解除されます。

ただし、5年間で3回以上の自己都合退職を繰り返している場合は、従来どおり3か月の給付制限が適用されるため注意が必要です。

参考:厚生労働省|令和6年雇用保険制度改正(令和7年4月1日施行分)について

【手取り別】失業保険の計算シミュレーション早見表

ここでは、手取り額別に失業保険の受給額をシミュレーションした結果を紹介します。

自分の手取り額に近い金額を参考にして、おおよその受給額を把握してください。

なお、すべて35歳・自己都合退職・被保険者期間5年以上10年未満(給付日数90日)を想定しています。

手取り15万円の場合の失業保険(総支給額約20万円)

手取り15万円の方は、総支給額がおよそ20万円前後と推定されます。

この場合の失業保険シミュレーションは次のとおりです。

手取り15万円のシミュレーション
項目金額
手取り額15万円
総支給額(推定)約20万円
賃金日額約6,667円
基本手当日額約4,800円
所定給付日数90日
受給総額約43万円

月換算すると約14万円程度の収入となります。

生活費の見直しが必要になるケースが多いでしょう。

手取り18万円の場合の失業保険(総支給額約23万円)

手取り18万円の方は、総支給額がおよそ23万円前後になります。

手取り18万円のシミュレーション
項目金額
手取り額18万円
総支給額(推定)約23万円
賃金日額約7,667円
基本手当日額約5,300円
所定給付日数90日
受給総額約48万円

1か月あたり約16万円の計算になりますが、後述する社会保険料などを考慮すると実際の手残りはさらに少なくなります。

手取り20万円の場合の失業保険(総支給額約26万円)

手取り20万円の方は、総支給額がおよそ26万円と推定できます。

手取り20万円のシミュレーション
項目金額
手取り額20万円
総支給額(推定)約26万円
賃金日額約8,667円
基本手当日額約5,800円
所定給付日数90日
受給総額約52万円

月額に換算すると約17万円程度です。

在職中の手取り20万円と比較すると、約3万円の減少となります。

手取り25万円の場合の失業保険(総支給額約32万円)

手取り25万円の方は、総支給額がおよそ32万円程度と推定されます。

手取り25万円のシミュレーション
項目金額
手取り額25万円
総支給額(推定)約32万円
賃金日額約10,667円
基本手当日額約6,300円
所定給付日数90日
受給総額約57万円

月額約19万円の計算となり、在職中と比較して月6万円ほど収入が減少します。

手取り30万円以上の場合と年齢別の上限額

手取り30万円以上の方は、総支給額が40万円前後になる計算です。

ただし、基本手当日額には上限額が設定されているため、収入が高いほど給付率は下がります。

年齢別の上限額と90日分の受給総額
年齢区分基本手当日額の上限90日分の受給総額
29歳以下7,255円約65万円
30〜44歳8,055円約72万円
45〜59歳8,870円約80万円
60〜64歳7,623円約69万円

収入が高い方ほど上限額の影響を受けやすく、在職中の収入との差額も大きくなります。

上限額を超える賃金日額の方は、早期再就職を視野に入れた計画が重要です。

失業保険を受け取った後の「本当の手取り額」を計算する

失業保険の受給額がわかっても、それがそのまま手元に残るわけではありません。

退職後は国民健康保険料や国民年金保険料、住民税などの支払いが発生します。

ここでは失業保険から実際に手元に残る金額について詳しく解説します。

失業保険は非課税だが支払うべきお金がある

失業保険として受け取る基本手当は非課税です。

所得税も住民税もかかりません。

確定申告の際も、失業保険の受給額は収入として申告する必要がありません。

しかし、退職後は以下の支払いが自己負担になります。

  • 国民健康保険料(または任意継続保険料)
  • 国民年金保険料
  • 住民税(前年の所得に対して課税)

在職中は会社が半額を負担していた社会保険料も、退職後は全額自己負担となります。

この負担を考慮せずに失業保険だけで生活設計をすると、思わぬ出費に苦しむことになりかねません。

退職後に支払う国民健康保険料の目安

退職後は国民健康保険に加入するか、会社の健康保険を任意継続するかを選択します。

国民健康保険料は前年の所得と住んでいる自治体によって大きく異なります。

国民健康保険料の目安
前年の年収(目安)国民健康保険料の目安(年額)月額換算
300万円約20〜25万円約1.7〜2.1万円
400万円約30〜35万円約2.5〜2.9万円
500万円約35〜45万円約2.9〜3.8万円

任意継続の場合は在職中の約2倍の保険料がかかりますが、扶養家族がいる場合は任意継続のほうが安くなるケースもあります。

どちらが有利かは個別に計算して判断する必要があります。

国民年金保険料の負担額(令和7年度:月額17,510円)

退職後は厚生年金から国民年金に切り替わります。

令和7年度(2025年度)の国民年金保険料は月額17,510円です。

国民年金保険料の推移
年度月額保険料
令和6年度(2024年度)16,980円
令和7年度(2025年度)17,510円
令和8年度(2026年度)17,920円

在職中は厚生年金保険料の中に国民年金分も含まれていましたが、退職後は別途支払いが必要です。

なお、収入が大幅に減少した場合は免除制度や猶予制度を利用できる可能性があります。

参考:日本年金機構|国民年金保険料

住民税は前年所得に課税されるため要注意

住民税は前年の1月〜12月の所得に対して課税されます。

つまり退職後も、在職中の高い収入に基づいた住民税を支払う必要があります。

たとえば年収400万円だった方は、退職後も年間20万円前後の住民税が課税されます。

住民税の目安
前年の年収住民税の目安(年額)月額換算
300万円約12〜15万円約1〜1.3万円
400万円約18〜22万円約1.5〜1.8万円
500万円約25〜30万円約2.1〜2.5万円

退職のタイミングによっては、まとまった金額を一括で支払う必要があることも覚えておきましょう。

【早見表】失業保険の受給額から税金を引いた手残り額の目安

失業保険の受給額から各種支払いを差し引いた「本当の手残り額」を計算してみましょう。

以下は手取り20万円(総支給額26万円)で退職した35歳・単身者の場合の目安です。

本当の手残り額の計算例
項目月額
失業保険(基本手当)約17万円
国民健康保険料△約2.5万円
国民年金保険料△約1.8万円
住民税△約1.5万円
実際の手残り額約11万円

失業保険だけを見ると月17万円ですが、各種支払いを考慮すると実際に使えるお金は約11万円程度になります。

この差額を理解しておくことが、失業期間中の生活設計には欠かせません。

パート・アルバイトでも失業保険の計算方法は同じ?

パートやアルバイトとして働いていた方でも、条件を満たせば失業保険を受給できます。

計算方法は正社員と基本的に同じですが、いくつか注意点があります。

雇用保険に加入していれば受給対象になる

失業保険を受け取るためには、雇用保険に加入していることが前提条件です。

雇用保険の加入条件は以下のとおりです。

  • 31日以上の雇用見込みがある
  • 週の所定労働時間が20時間以上

パートやアルバイトでも、上記の条件を満たしていれば雇用保険に加入しているはずです。

給与明細で「雇用保険料」が引かれているかどうかを確認してみてください。

受給資格の条件も正社員と同じで、離職日以前2年間に被保険者期間が12か月以上必要です。

会社都合退職や特定理由離職者の場合は、離職日以前1年間に6か月以上あれば受給資格を得られます。

パート・アルバイトの賃金日額と基本手当日額の計算例

パート・アルバイトの場合、月収が低いため賃金日額も低くなります。

しかし給付率は最大80%が適用されるため、正社員よりも有利に計算される面もあります。

月収10万円(総支給額)のパートの場合を計算してみましょう。

パート月収10万円のシミュレーション
項目金額
総支給額(月額)10万円
6か月間の総支給額60万円
賃金日額約3,333円
給付率80%
基本手当日額約2,667円
受給総額(90日の場合)約24万円

月換算で約8万円となりますが、パートの方は扶養内で働いていたケースも多く、国民健康保険料や年金の負担が軽減される可能性があります。

最低保証額(基本手当日額:2,411円)が適用されるケース

賃金日額が非常に低い場合でも、基本手当日額には最低保証額が設定されています。

令和7年8月1日以降の最低保証額は2,411円です。

計算上の基本手当日額が2,411円を下回る場合は、自動的に2,411円が適用されます。

90日の給付で約21万7千円が最低保証される計算になります。

短時間パートで収入が少なかった方でも、一定の生活保障が受けられる仕組みになっています。

失業保険の計算でよくある質問

失業保険の計算に関して、多くの方が疑問に感じるポイントをQ&A形式でまとめました。

Q. 手取り20万の失業手当はいくらですか?

手取り20万円の場合、総支給額は約26万円と推定されます。

この条件での賃金日額は約8,667円、基本手当日額は約5,800円前後となります。

90日分の受給で約52万円が目安です。

ただし、年齢や勤続年数によって金額は変動します。

正確な金額を知りたい場合は、ハローワークで受給資格決定を受けた後に交付される「雇用保険受給資格者証」で確認してください。

Q. 失業保険から引かれる税金はありますか?

失業保険そのものは非課税のため、所得税・住民税は課税されません。

確定申告で失業保険を収入として申告する必要もありません。

ただし、退職後は前年所得に基づく住民税、国民健康保険料、国民年金保険料の支払いが発生します。

そのため、失業保険の受給額がそのまま手元に残るわけではありません。

とくに住民税は前年の収入をベースに計算されるため、在職中と同程度の金額を支払う必要があることを覚えておきましょう。

Q. 基本給15万で失業保険はいくらもらえますか?

基本給15万円(総支給額15万円)の場合、賃金日額は約5,000円、基本手当日額は約4,000円程度となります。

90日分で約36万円が目安です。

ただし、残業代や各種手当(通勤手当・住宅手当など)が加算されていれば、実際の総支給額は15万円より高くなります。

その場合は受給額もさらに増える計算になります。

給与明細で「総支給額」の欄を確認し、正確な金額を把握することが大切です。

Q. 失業手当の計算式を教えてください

基本の計算式は以下のとおりです。

①賃金日額 = 退職前6ヶ月の総支給額合計 ÷ 180

②基本手当日額 = 賃金日額 × 給付率(50〜80%)

③受給総額 = 基本手当日額 × 所定給付日数

給付率は賃金日額が低いほど高く(最大80%)、高いほど低くなります(最低50%)。

また、年齢によって上限額が異なります。

計算が複雑に感じる場合は、ハローワークの窓口やシミュレーションツールを活用してください。

失業保険の申請手続きの流れ

失業保険を受け取るためには、ハローワークでの手続きが必要です。

ここでは申請から受給までの流れを順番に解説します。

申請に必要な書類一覧(離職票・マイナンバーなど)

失業保険の申請には、以下の書類が必要です。

  • 雇用保険被保険者離職票(1・2)
  • マイナンバーカード(または通知カード+本人確認書類)
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
  • 証明写真2枚(縦3cm×横2.4cm)
  • 印鑑(認め印可)

離職票は退職後10日〜2週間程度で会社から届きます。

届かない場合は会社に確認するか、ハローワークに相談してください。

ハローワークでの求職申し込みと受給資格決定

離職票が届いたら、住所地を管轄するハローワークに行きます。

窓口で求職の申し込みを行い、離職票などの必要書類を提出します。

ハローワークでは提出書類を確認し、受給資格があるかどうかを判定します。

受給資格が認められると「雇用保険受給資格者証」が交付されます。

この書類に基本手当日額や所定給付日数など、重要な情報が記載されています。

雇用保険受給者初回説明会への出席

受給資格決定後、「雇用保険受給者初回説明会」の日程が案内されます。

この説明会への出席は必須です。

説明会では失業保険の仕組み、受給中のルール、求職活動の進め方などが説明されます。

説明会に出席すると「失業認定申告書」が配布され、次回の失業認定日が指定されます。

失業認定日と求職活動実績の報告

失業保険を継続して受け取るためには、4週間に1回の「失業認定日」にハローワークを訪れる必要があります。

失業認定日には、以下のことを行います。

  • 失業状態が継続していることの確認
  • 求職活動実績の報告
  • 次回の失業認定日の確認

求職活動実績として認められるのは、求人への応募、面接、ハローワークでの職業相談、企業説明会への参加などです。

原則として認定期間中に2回以上の求職活動実績が必要です。

失業認定を受けた後、約5営業日で指定口座に失業保険が振り込まれます。

失業保険の計算・受給で注意すべき3つのポイント

失業保険の受給中に気をつけるべき重要なポイントを3つ紹介します。

知らずにルール違反をすると、厳しいペナルティを受ける可能性があります。

不正受給は絶対NG(3倍返しのペナルティ)

失業保険の不正受給には非常に厳しいペナルティが科せられます。

不正受給が発覚した場合、以下の処分を受けます。

  • 不正受給した金額の全額返還
  • 不正受給額の2倍に相当する金額の納付(つまり合計3倍)
  • 以降の失業保険の支給停止

たとえば50万円を不正受給した場合、返還と納付金を合わせて150万円を支払う必要があります。

不正受給に該当する行為の例としては、就労したのに申告しない、虚偽の求職活動実績を報告する、収入があるのに隠すなどがあります。

受給中のアルバイトは必ず申告が必要

失業保険の受給中もアルバイトをすることは禁止されていません。

ただし、必ず失業認定申告書に申告する義務があります。

申告すると、働いた日の基本手当は不支給または減額となりますが、その分は後ろ倒しで受給できます。

アルバイトをしても給付日数が減るわけではないので、正直に申告することが大切です。

週20時間以上または31日以上の雇用契約を結ぶと「就職」とみなされ、失業保険の受給資格を失います。

アルバイトを始める前に、ハローワークに相談することをおすすめします。

再就職が決まったら「再就職手当」を忘れずに申請

失業保険の給付日数を残して再就職が決まった場合、「再就職手当」を受け取れる可能性があります。

再就職手当の金額は、支給残日数によって異なります。

再就職手当の計算式
支給残日数再就職手当の計算式
所定給付日数の2/3以上基本手当日額 × 支給残日数 × 70%
所定給付日数の1/3以上基本手当日額 × 支給残日数 × 60%

たとえば基本手当日額5,800円、支給残日数60日で再就職した場合、再就職手当は約24万円になります。

この手当は申請しないともらえません。

再就職が決まったらハローワークに報告し、再就職手当の申請手続きを行いましょう。

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