再就職後に賃金が下がった方が受給できるはずの就業促進定着手当。
しかし、実際に申請してみると「不支給通知」が届いてしまうケースが少なくありません。
せっかく再就職を果たしたのに、期待していた手当がもらえないのは経済的にも精神的にも大きな負担となります。
本記事では、就業促進定着手当がもらえない具体的な原因と、今からでも間に合う対策について詳しく解説します。
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就業促進定着手当がもらえない7つの主要原因
就業促進定着手当の不支給決定を受けた方の多くは、申請要件の細かい部分で引っかかっているケースがほとんどです。
実は、この手当には複数の要件があり、そのすべてを満たす必要があるため、ひとつでも条件から外れると受給できません。
厚生労働省の調査によると、申請者の約3割が何らかの理由で不支給となっており、その原因は大きく7つに分類されます。
これらの原因を事前に把握しておくことで、不支給のリスクを大幅に減らすことができます。
特に注意すべきなのは、再就職手当との関連性や勤務期間の計算方法、賃金比較の基準など、一見わかりにくい部分での誤解です。
ここからは、実際の不支給事例をもとに、それぞれの原因について詳しく見ていきましょう。
原因1:再就職手当の受給要件を満たしていなかった
就業促進定着手当を受給するための大前提として、まず再就職手当を受け取っている必要があります。
この基本的な条件を見落としている方が意外と多く、不支給の大きな原因となっています。
再就職手当は、失業給付の受給資格がある方が、支給残日数を3分の1以上残して安定した職業に就いた場合に支給される手当です。
しかし、再就職手当の申請期限は原則として就職日の翌日から1ヶ月以内となっており、この期限を過ぎてしまうと受給資格を失います。
実際のケースでは以下のような状況が不支給の原因となっています。
- 再就職手当の存在を知らずに申請しなかった
- 申請書類の不備で再就職手当が不支給となった
- 待期期間中の就職で再就職手当の対象外となった
- 自己都合退職の給付制限期間の最初の1ヶ月以内にハローワーク以外で就職した
特に、転職エージェントや求人サイト経由での就職の場合、給付制限期間の取り扱いに注意が必要です。
また、そもそも再就職手当の対象外となるケースとして、離職前の事業主への再雇用や、密接な関係にある事業主への就職も含まれます。
原因2:6ヶ月間の継続勤務要件を満たせなかった
就業促進定着手当の支給を受けるには、再就職先で6ヶ月以上継続して勤務することが必須条件となります。
この「6ヶ月間」の数え方には細かい規定があり、単純に在籍期間だけでは判断されません。
試用期間中の退職は、最も多い不支給原因のひとつです。
企業側は試用期間を設けることで採用リスクを軽減していますが、労働者にとっては手当受給の観点から大きなリスクとなります。
体調不良による休職期間の取り扱いも複雑で、以下の点に注意が必要です。
- 有給休暇の取得は継続勤務として認められる
- 休職期間中でも雇用関係が継続していれば問題ない
- ただし、休職期間中の賃金支給状況によっては対象外となる場合がある
- 労災による休業は継続勤務として扱われる
有期契約から無期契約への切り替え時も要注意です。
契約形態の変更に伴い、いったん退職扱いとなる企業もあり、この場合は6ヶ月の継続勤務要件を満たさないと判断される可能性があります。
実際に、3ヶ月の有期契約を2回更新して6ヶ月勤務したケースでも、契約更新時に1日でも空白期間があると不支給となった事例が報告されています。
原因3:賃金計算の方法を誤解していた
賃金計算の誤りは、申請者自身が気づきにくい不支給原因のひとつです。
就業促進定着手当は、再就職後の賃金が前職より低い場合に支給されますが、この「賃金」の定義と計算方法を正しく理解していないケースが多く見られます。
基本給のみで計算してしまうのは典型的な誤りです。
| 賃金に含まれるもの | 賃金に含まれないもの |
|---|---|
| 基本給 | 賞与(ボーナス) |
| 固定的な手当(職務手当、役職手当等) | 臨時的な手当 |
| 通勤手当 | 実費弁償的なもの |
| 時間外手当の固定部分 | 出張旅費 |
賞与や手当の計算方法にも注意が必要です。
前職で年2回の賞与があった場合、その金額を12で割って月額賃金に加算する必要がありますが、この計算を忘れている方が多いのが実情です。
また、前職との賃金比較では、離職前6ヶ月間の賃金総額を180で割った「賃金日額」をベースに計算します。
残業代が多い月と少ない月で大きく変動する場合でも、6ヶ月間の平均値で判断されるため、直近の給与明細だけを見て判断すると誤った結論に至る可能性があります。
原因4:雇用保険の被保険者資格に問題があった
雇用保険の被保険者であることは、就業促進定着手当受給の絶対条件です。
しかし、雇用形態の多様化により、被保険者資格の有無が曖昧になるケースが増えています。
週20時間未満の労働時間は、雇用保険の加入要件を満たさない最も一般的な原因です。
パートタイムで働く方の中には、シフト制により週によって労働時間が変動する場合があり、平均して週20時間を下回ると被保険者資格を失います。
副業・兼業の場合の取り扱いはさらに複雑になります。
- メインの仕事が週20時間未満でも、副業と合わせて20時間以上なら加入可能な場合がある
- ただし、事業主が異なる場合は合算できない
- 同一事業主の複数事業所で勤務する場合は合算される
- 2022年10月からの制度改正により、複数事業所での加入も可能になったが手続きが煩雑
請負契約や業務委託での就業は、原則として雇用保険の対象外となります。
フリーランスとして独立した場合や、形式上は業務委託契約となっている場合は、たとえ実態が雇用関係に近くても、就業促進定着手当の対象とはなりません。
最近では、雇用契約と業務委託契約を併用する企業も増えており、契約内容を十分に確認することが重要です。
原因5:申請書類の不備や記載ミス
申請書類の不備は、本来なら受給できるはずの方が不支給となる残念な原因のひとつです。
ハローワークの窓口では書類のチェックを行いますが、すべての記載内容まで詳細に確認することは困難です。
事業主証明欄の記載漏れは特に多い不備です。
「就業促進定着手当支給申請書」には事業主の証明が必要ですが、以下のような記載ミスが頻繁に見られます。
- 会社の代表印ではなく部署印を押してしまった
- 証明日が申請日より後になっている
- 賃金額の記載に誤りがある
- 雇用保険被保険者番号が間違っている
賃金台帳や出勤簿の不足も大きな問題となります。
特に中小企業では、これらの書類が適切に整備されていないケースがあり、申請時に慌てて作成することで記載ミスが発生しやすくなります。
必要な添付書類の見落としも少なくありません。
再就職先での6ヶ月分の給与明細書、雇用契約書または労働条件通知書、出勤簿またはタイムカードの写しなど、求められる書類は多岐にわたります。
これらの書類は、再就職時から計画的に保管しておくことが大切です。
原因6:申請期限を超過してしまった
就業促進定着手当の申請期限は、再就職日から6ヶ月経過後の翌日から2ヶ月以内と定められています。
この期限は厳格に運用されており、1日でも遅れると原則として受給できません。
期限を過ぎてしまう主な理由として、以下のようなケースがあります。
- 申請期限の存在を知らなかった
- 6ヶ月経過したことを忘れていた
- 書類の準備に時間がかかり間に合わなかった
- 会社側の証明書発行が遅れた
やむを得ない事情がある場合でも、期限延長は簡単には認められません。
「災害その他やむを得ない理由により申請期限内に申請できなかった場合は、その理由がやんだ日の翌日から起算して7日以内に申請すれば受理される」(厚生労働省「雇用保険事務手続きの手引き」より)
つまり、入院や災害などの特別な事情がない限り、期限延長は期待できません。
会社の都合で書類が揃わない場合でも、まずは揃っている書類だけで仮申請を行い、後日追加書類を提出する方法もあります。
期限が迫っている場合は、ハローワークに事前相談することで、適切な対処法をアドバイスしてもらえます。
原因7:前職と同一事業主・関連会社への再就職
前職と密接な関係にある企業への再就職は、就業促進定着手当の支給対象外となる重要な原因です。
この規定は、制度の悪用を防ぐために設けられていますが、判断基準が複雑なため注意が必要です。
グループ会社への転職は典型的な不支給事例です。
親会社から子会社、または子会社間の転職は、たとえ別法人であっても「密接な関係」と判断される可能性が高くなります。
判断基準となる要素を整理すると以下のようになります。
- 資本関係(50%以上の出資関係がある場合)
- 人的関係(役員の兼任、従業員の出向関係)
- 取引関係(売上の大部分を占める取引先)
- 実質的な支配関係の有無
派遣先が同じ場合の判断も複雑です。
派遣会社を変更しても、派遣先企業が前職と同じ場合は、実質的に同一事業主への再就職と見なされることがあります。
事業承継や合併時の取り扱いも要注意です。
再就職後に会社が買収された場合、結果的に前職の関連会社になってしまうケースもあり、このような場合の取り扱いは個別に判断されます。
不支給の原因が判明した後の具体的な対応方法
不支給通知を受け取った後でも、諦める必要はありません。
多くの場合、適切な対応を取ることで、支給決定に変更される可能性があります。
重要なのは、不支給の具体的な理由を正確に把握し、それに応じた対策を講じることです。
ハローワークの担当者も、制度の趣旨に則って支給できるケースであれば、可能な限り支援してくれます。
ただし、対応には期限があるため、不支給通知を受けたら速やかに行動を起こす必要があります。
以下では、原因別の具体的な対応方法について詳しく解説していきます。
ハローワークへの問い合わせと原因の詳細確認
不支給通知書には簡潔な理由しか記載されていないことが多いため、まずはハローワークに詳細を確認することが重要です。
電話での問い合わせも可能ですが、できれば直接窓口を訪れることをお勧めします。
不支給原因の詳細確認では、以下の点を明確にしてもらいましょう。
- 具体的にどの要件を満たしていないのか
- 提出書類のどの部分に問題があったのか
- 追加書類の提出で解決可能かどうか
- 再申請の可能性はあるか
追加書類の提出による再審査は、書類不備が原因の場合に有効です。
例えば、賃金証明に不足があった場合、詳細な賃金台帳や雇用契約書を追加提出することで、再審査を受けられる可能性があります。
担当者との面談では、感情的にならず冷静に状況を説明することが大切です。
制度の理解不足による誤解があった場合は、素直に認めた上で、正しい情報に基づく再審査を依頼しましょう。
また、担当者によって対応が異なることもあるため、説明に納得できない場合は、上席の職員に相談することも検討してください。
書類不備が原因の場合の修正申請
書類の不備や記載ミスが原因で不支給となった場合、修正申請により支給決定を得られる可能性が高くなります。
ただし、修正には期限があり、不支給決定から60日以内に審査請求を行う必要があります。
よくある記載ミスのチェックリストを活用して、修正箇所を特定しましょう。
| チェック項目 | 確認内容 | よくあるミス |
|---|---|---|
| 氏名・住所 | 住民票と一致しているか | 旧字体の誤り、番地の省略 |
| 雇用保険被保険者番号 | ハローワークの記録と一致 | 数字の転記ミス |
| 賃金額 | 源泉徴収票との整合性 | 手当の計上漏れ |
| 勤務期間 | 雇用契約書との一致 | 試用期間の扱い |
事業主への協力依頼は丁寧に行う必要があります。
会社側も初めての手続きで戸惑うことが多いため、必要な書類と記載方法を具体的に説明し、場合によってはハローワークの担当者から直接説明してもらうことも有効です。
修正可能な期限は、原則として不支給決定から60日以内ですが、やむを得ない事情がある場合は、個別に相談することで柔軟な対応を受けられることもあります。
労働条件が原因の場合の改善策
労働条件が原因で不支給となった場合、現在の雇用条件を改善することで、将来的に受給資格を得られる可能性があります。
特に勤務時間や契約形態に関する問題は、会社との交渉により解決できるケースが少なくありません。
勤務時間の調整交渉では、以下の点を会社側に提案してみましょう。
- 週20時間以上の安定したシフトの確保
- 繁忙期と閑散期のバランスを考慮した年間労働時間の設定
- 複数部署での勤務による労働時間の確保
- 在宅勤務も含めた柔軟な働き方の導入
契約形態の変更相談も重要な選択肢です。
有期契約から無期契約への転換、業務委託から雇用契約への切り替えなど、会社にとってもメリットがある提案を心がけることで、交渉が成功しやすくなります。
雇用保険加入要件を満たすための工夫として、副業を含めた働き方の見直しも検討してください。
2022年の制度改正により、65歳以上の方でも一定の条件を満たせば雇用保険に加入できるようになったため、年齢を理由に諦める必要はありません。
就業促進定着手当以外に活用できる支援制度
就業促進定着手当が受給できない場合でも、他の支援制度を活用することで経済的な負担を軽減できます。
国や自治体では、再就職者を支援するさまざまな制度を用意しており、これらを組み合わせることで、定着手当に相当する支援を受けられる可能性があります。
特に、住宅費や生活費の支援、スキルアップのための補助金など、目的別に多様な制度が存在します。
これらの制度は申請要件や支給額がそれぞれ異なるため、自分の状況に最も適した制度を選択することが重要です。
また、複数の制度を併用できる場合もあるため、総合的な支援プランを立てることをお勧めします。
以下では、代表的な支援制度について詳しく見ていきましょう。
住宅支援給付金の活用
住宅支援給付金は、離職や減収により住居を失うおそれがある方に対して、家賃相当額を支給する制度です。
就業促進定着手当が受給できない方でも、一定の要件を満たせば利用可能です。
家賃補助制度の概要として、支給額は地域により異なりますが、東京23区の場合、単身世帯で月額53,700円、2人世帯で64,000円が上限となっています。
申請要件と手続き方法は以下のとおりです。
- 離職後2年以内または減収により離職と同等の状況にある
- 世帯収入が基準額以下である
- 預貯金が基準額以下である
- ハローワークで求職活動を行っている
併給可能な制度との組み合わせにより、より充実した支援を受けることができます。
例えば、住宅支援給付金を受けながら、職業訓練受講給付金(月額10万円)を併せて受給することも可能です。
また、自治体によっては独自の上乗せ支援を行っている場合もあるため、お住まいの市区町村の福祉窓口で確認することをお勧めします。
自治体独自の就労支援制度
多くの自治体では、国の制度とは別に独自の就労支援制度を設けています。
これらの制度は地域の実情に応じて設計されているため、より利用しやすい内容となっていることが特徴です。
市区町村の転職支援金は、UIJターン就職を促進するために設けられている制度が代表的です。
「東京23区から地方へ移住し就業した場合、最大100万円(単身者は60万円)の移住支援金が支給される」(内閣府地方創生推進事務局「移住支援金制度について」より)
スキルアップ補助金も充実しています。
- 資格取得費用の補助(上限10万円程度)
- 職業訓練受講中の生活費支援
- 通信教育受講料の助成
- 語学学習支援金
地域限定の特別給付制度として、過疎地域での就業に対する特別手当、介護・福祉分野への就職奨励金、若年者の正規雇用化支援金などがあります。
これらの制度は予算の関係で年度途中で受付を終了することもあるため、早めの申請が重要です。
税制上の優遇措置
就業促進定着手当が受給できない場合でも、税制上の優遇措置を活用することで、実質的な手取り額を増やすことができます。
特に、転職に伴う収入減少がある場合は、各種控除を最大限活用することが重要です。
所得税の還付申告では、年の途中で転職した場合、前職での源泉徴収額が過大となっているケースがあります。
確定申告により、数万円から十数万円の還付を受けられることも珍しくありません。
住民税の減免申請も見逃せない制度です。
失業や大幅な減収があった場合、以下のような減免を受けられる可能性があります。
| 減免の種類 | 対象者 | 減免率 |
|---|---|---|
| 失業減免 | 雇用保険受給者 | 最大50% |
| 所得減少減免 | 前年比30%以上の減収 | 25~75% |
| 災害減免 | 災害による失業 | 最大100% |
社会保険料の免除・猶予制度も活用できます。
国民年金保険料の免除申請、国民健康保険料の減額申請など、収入状況に応じた負担軽減措置が用意されています。
これらの制度を組み合わせることで、年間で数十万円の負担軽減効果が期待できます。
よくある疑問を徹底解説
就業促進定着手当に関する疑問は多岐にわたりますが、特に多く寄せられる質問について、具体例を交えながら詳しく解説していきます。
制度の複雑さゆえに誤解が生じやすい部分もありますが、正しい理解により適切な判断ができるようになります。
実際の相談事例をもとに、申請者が陥りやすい誤解や見落としがちなポイントを中心に説明していきます。
これらの情報を事前に把握しておくことで、スムーズな申請手続きが可能となり、不支給リスクを最小限に抑えることができます。
就業促進定着手当をもらえないケースは?
正社員として再就職したものの、試用期間3ヶ月で退職してしまった場合や、前職と同じグループ会社に転職した場合などは支給対象外となります。
また、フリーランスや個人事業主として独立した場合も、雇用保険の被保険者ではないため受給できません。
これらが主な原因となります。
試用期間中の退職は特に注意が必要で、企業側から「適性がない」と判断された場合でも、6ヶ月の継続勤務要件を満たさないため不支給となります。
ただし、会社都合による解雇の場合は、別途、雇用保険の基本手当を受給できる可能性があるため、ハローワークに相談することをお勧めします。
その他にも、以下のようなケースで不支給となることがあります。
- 再就職先が1年以内に倒産した場合
- 労働条件の相違により即日退職した場合
- 健康上の理由で長期休職となった場合
- 在職中に別の会社に転職した場合
これらのケースでは、個別の事情により判断が異なることもあるため、必ずハローワークで確認することが大切です。
就業促進定着手当の対象外となる人は?
パートタイムで週20時間未満の勤務をしている方、雇用保険に加入していない方、再就職手当を受給していない方などが該当します。
また、65歳以上で雇用保険の被保険者になれない方も対象外となる原因の一つです。
ただし、2022年の法改正により、65歳以上でも一定の条件を満たせば雇用保険に加入できるようになったため、年齢だけで諦める必要はありません。
具体的な対象外となる属性を整理すると以下のようになります。
- 公務員として再就職した方(雇用保険の適用除外)
- 会社の役員に就任した方(被保険者とならない)
- 学生アルバイト(原則として被保険者とならない)
- 日雇い労働者(一般の雇用保険とは別制度)
特殊な雇用形態の場合も注意が必要です。
シェアリングエコノミーで働く方、ギグワーカー、クラウドソーシングで仕事を受注している方なども、雇用関係がないため対象外となります。
最近では、雇用類似の働き方をしている方への保護も議論されていますが、現時点では就業促進定着手当の対象には含まれていません。
再就職手当がもらえない例は?
待期期間中に就職した場合、自己都合退職後の給付制限期間最初の1ヶ月以内にハローワーク以外で就職した場合、離職前の事業主に再雇用された場合などが原因で、再就職手当の支給対象外となります。
待期期間は、失業認定を受けてから7日間設定されており、この期間中は完全に失業状態である必要があります。
アルバイトや内職も認められないため、注意が必要です。
給付制限期間に関する規定も複雑です。
- 自己都合退職の場合、2~3ヶ月の給付制限がある
- 最初の1ヶ月はハローワークまたは職業紹介事業者の紹介が必要
- 2ヶ月目以降は自己開拓での就職も可能
- 紹介状の有無が重要な判断基準となる
離職前の事業主への再雇用については、形式的に一度退職して再度雇用される場合も含まれます。
これは、失業給付の不正受給を防ぐための措置ですが、M&Aによる事業譲渡などで意図せず該当してしまうケースもあるため、事前確認が重要です。
定着手当をもらう条件は?
再就職手当を受給済みであること、再就職先で6ヶ月以上継続して雇用保険被保険者として勤務すること、再就職後の賃金が前職より低いこと、申請期限内に正確な書類を提出することが必須条件です。
これらの条件を満たさないことが不支給の原因となります。
賃金が低下していることの判定基準は、以下の計算式で行われます。
「再就職後6ヶ月間の賃金の1日分の額が、離職前の賃金日額を下回ること」(厚生労働省「雇用保険事務取扱要領」より)
具体的な計算例を示すと、離職前の賃金日額が8,000円で、再就職後の賃金日額が6,000円の場合、差額の2,000円に基づいて手当額が計算されます。
申請のタイミングも重要な要素です。
- 再就職日から6ヶ月経過後の翌日から申請可能
- 申請期限は2ヶ月以内
- 6ヶ月目の給与が確定してから申請する
- 賞与は含めず、定期的な賃金のみで計算
これらすべての条件をクリアして初めて、就業促進定着手当の受給資格を得ることができます。
申請前に確認すべき不支給原因を防ぐポイント
就業促進定着手当の申請で失敗しないためには、事前の入念な準備が不可欠です。
多くの不支給事例は、申請前の確認不足が原因となっているため、以下のポイントを押さえることで、スムーズな受給につなげることができます。
特に重要なのは、自分自身で受給要件を正確に理解し、必要書類を計画的に準備することです。
ハローワークの窓口は混雑していることが多く、十分な説明を受けられないこともあるため、事前の自己チェックが大切になります。
ここでは、申請前に必ず確認すべきポイントと、不支給を防ぐための具体的な対策について詳しく解説します。
受給要件のセルフチェックで原因を事前回避
必須条件の最終確認は、申請直前に必ず行うべき重要なステップです。
チェックリストを作成し、一つひとつの項目を丁寧に確認することで、見落としを防ぐことができます。
以下の項目は特に重要な確認ポイントです。
- 再就職手当の支給決定通知書があるか
- 再就職日から6ヶ月以上経過しているか
- 6ヶ月間、継続して同一事業主に雇用されているか
- 雇用保険被保険者として加入しているか
- 前職の賃金日額より現在の賃金が低いか
見落としがちな注意点として、有給休暇の取得日数があります。
6ヶ月間で多くの有給休暇を取得した場合でも、雇用関係が継続していれば問題ありませんが、無給の休職期間がある場合は別途確認が必要です。
事前相談の活用方法も重要です。
ハローワークでは、正式な申請前でも相談を受け付けており、受給可能性について助言を受けることができます。
特に判断が難しいケースでは、必ず事前相談を行い、必要書類や注意点について確認しておきましょう。
書類不備が原因とならないための準備
申請書の正しい記入方法を理解することは、スムーズな申請の第一歩です。
記入例を参考にしながら、一つひとつの項目を丁寧に記載していきましょう。
添付書類の取得タイミングは計画的に行う必要があります。
| 必要書類 | 取得時期 | 注意点 |
|---|---|---|
| 雇用契約書 | 入社時 | コピーを保管 |
| 給与明細書 | 毎月 | 6ヶ月分必要 |
| 出勤簿 | 申請前 | 会社に依頼 |
| 源泉徴収票 | 年末または退職時 | 前職分も必要 |
書類不備を防ぐコツとして、以下の点に注意してください。
- すべての書類をコピーして控えを保管する
- 記入内容に矛盾がないか複数回チェックする
- 会社の担当者に記載内容を確認してもらう
- 提出前にハローワークで書類チェックを受ける
特に、事業主記載欄は会社側のミスが発生しやすい部分です。
代表者印の押印、正確な賃金額の記載、雇用期間の証明など、会社側の協力が不可欠な部分については、余裕を持って依頼することが大切です。
期限切れが原因とならないスケジュール管理
重要な期限の把握と管理は、確実な受給のために欠かせません。
就業促進定着手当に関連する期限は複数あり、それぞれを正確に把握しておく必要があります。
まず、基本的なスケジュールを整理しましょう。
- 再就職日:起算日となる最重要日
- 6ヶ月経過日:申請可能となる日
- 申請開始日:6ヶ月経過日の翌日
- 申請期限:申請開始日から2ヶ月後
余裕を持った準備の進め方として、5ヶ月目から書類の準備を始めることをお勧めします。
会社への証明書依頼、給与明細の整理、必要書類の確認など、1ヶ月前から準備を始めれば、慌てることなく申請できます。
トラブル時の対処法も事前に把握しておきましょう。
会社の担当者が急病で不在、書類の紛失、システムトラブルなど、予期せぬ事態が発生した場合でも、期限内に何らかの形で申請意思を示すことが重要です。
仮に書類が不完全でも、まずは窓口で相談し、後日追加書類を提出する形で対応できることもあります。

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